「書く」よりも「読む」という勉強法

毎日図書館へ通い、ひたすら教科書を「読む」ことに徹した。ノートに「書く」よりも「読む」ほうが、同じ時間内で圧倒的に多くの情報に触れられると考え、効率を極限まで追求したのだ。この学習法により成績はみるみる上昇し、苦手だった数学も克服。無事に東大合格ラインへと達した。

そして、東大受験を経て、迎えた合格発表の日。「絶対に合格している」と確信し、掲示板の最前列に陣取ったが、そこに自分の受験番号はなかった……。

「成績開示を見るまでは、絶対に何かの間違いだと思っていました。自分が落ちるなんてありえないと。でも、開示結果を見て納得せざるを得ませんでした。国語が壊滅的にできていなかったんです」

合格最低点にわずか数点及ばず、不合格。「国語はセンスだから、勉強しても仕方がない」と軽視していたことが最大の仇となった。国語の点数は120点満点中わずか40点。合格者平均を大きく下回る結果だった。

「国語力こそすべての土台」
本質的な学びへの転換と大躍進

神田さんにとって「東大以外に進学する」という選択肢はなかったため、浪人して再挑戦するのはごく自然な流れだった。浪人生活を始めるにあたり、現役時代と同じ手法で勉強計画を立てようとしたが、そんな彼を立ち止まらせたのは父親の言葉だった。

「このままでは、運に合否を左右されるだけだ。たとえ二次試験本番で高熱を出していたとしても、確実に合格できるような本当の力をつけるべきだ」

この言葉を受け、神田さんは「本質的に点数を上げるためには何が必要か」を深く考え直した。そして辿り着いたのが、「国語がすべての鍵になる」という仮説だった。「国語力こそが、全教科の土台になるのではないか」――そう確信した神田さんは、現役時代に見逃していた「国語」を徹底的に鍛え直す決意をする。

勉強法の見直しでトップ合格までわずか3点差
という驚異的な成績に躍進

そこからの4ヶ月間、彼はひたすら読書に没頭した。哲学書、漫画、新書などあらゆるジャンルの本を読み漁り、そこから得た気づきや考察を母親と徹底的に議論した。

その成果は、8月の東大実戦模試で明確に表れた。重点的に鍛えた国語はもちろんのこと、驚くべきことに、この4ヶ月間まったく手をつけていなかった他教科の成績までもが軒並み上昇していたのだ。

結果として、現役時代から総合点を100点も伸ばし、トップ合格までわずか3点差という驚異的な成績で文科Ⅰ類への合格を果たした。

「自分で選ぶ生き方」が尊重される社会へ

「東大合格への最短経路は、通信制高校に属しながら独学で受験勉強をすることだった」と語る神田さん。

現在、彼は国語特化のオンライン個別指導塾「ヨミサマ。」の代表を務め、これまでに延べ2000人以上の生徒の国語力向上のために尽力している。そして、東大受験の最大の動機であった「日本の教育を変えたい」という強い願いは、今も彼の胸の中で燃え続けている。子どもたち一人ひとりが「自分で選んだ生き方」を実現できる社会を、彼は望んでいる。

「通信制高校は、決して不登校の生徒だけが行く場所ではありません。自分のペースに合った勉強ができ、年齢もバックグラウンドも多様な生徒たちと交流することで視野が大きく広がります。自分の人生の目標のため、あるいは受験勉強のためといった『ポジティブな理由』で通信制高校に属すという選択肢が、もっと世の中で一般的なものになってほしいですね」

神田さんの挑戦は、単なる受験の成功体験にとどまらない。これからの時代における「学びの多様性」を社会に提示し続けている。

※本稿は、『成績アップは「国語」で決まる! 偏差値45からの東大合格「完全独学★勉強法」』(ダイヤモンド社)の著者に関する特別原稿です。