10代の若者が創業、評価額1600億円のAI企業「アール」とは(上から時計回りに)共同創業者のキャメロン・フィンク氏、ネッド・コー氏、ジョン・ケスラー氏

 人工知能(AI)スタートアップ企業の「Aaru(アール)」がニューヨークに初めて構えた本社には、かつてバスケットゴールと「怒りの部屋」があった。従業員はコーディングでミスをすると、そこに行きハンマーをテーブルに叩きつけた。会議室は共同創業者の一人の寝室を兼ねていた。

 この場所は、学生寮のフラタニティハウス(男子学生の社交クラブ)とハイテク研究所を合わせたような、10代の若者が創業した企業にぴったりの雰囲気だった。

 アールは最近、企業価値が10億ドル(約1590億円)に達し、大学に通う代わりに既存の業界を丸ごと刷新したいと考える、20代になったばかりの若手リーダーが率いる注目企業の仲間入りを果たした。

 共同創業者のキャメロン・フィンク氏とネッド・コー氏は2年前(それぞれ当時18歳と19歳)、当時わずか15歳だった最高技術責任者(CTO)のジョン・ケスラー氏と共にアールを創業した。ケスラー氏は現在も取締役会に加われる年齢ではなく、投資書類には父親が署名しなければならなかったほどだ。

 アールの取り組みからは、かつて調査会社やコンサルタント、広告業界が独占していた多額の費用と人手のかかる作業を、AIがいかに自動化できるかをうかがい知ることができる。

 アールは、人間に報酬を支払ってフォーカスグループに加わってもらったり、アンケートに答えてもらったりする代わりに、何千ものAIエージェント、すなわちボットを使って人間の反応を再現する。人口統計や心理データをAIモデルに投入し、顧客のニーズと一致する人物像を作り出す。ボットがはじき出した結果は、製品開発や価格設定、新規顧客の発見や政治関連の世論調査に活用される。