「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。
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「うそ」はダメだけど……
子どもに「うそをついてはいけません」と教えるのは大切なことです。
人をだましたり、信頼関係を壊したりする行為は望ましくありません。
しかし、子どもがうそをつくという行動を、少し違う角度から見ることもできます。
それは、子どもの思考や言葉の力が育ってきたサインである、という見方です。
うそをつくためには、実はそれなりの思考力が必要です。
「本当のことは何か」「それをどう言い換えれば相手に別の印象を与えられるか」「相手はどう受け取るだろうか」といったことを、子どもなりに考えているからです。
つまり、相手の立場や反応を想像しながら言葉を選んでいるわけです。このプロセスには、物事を俯瞰する力や論理的思考力、そして言語化力が含まれています。
たとえば、ジュースをこぼしてしまった子どもが「ぼくじゃないよ。さっきここに来たときにはもうこうなっていた」と説明したとします。
このとき、この子は「状況をどう説明すれば自分に不利にならないか」を考えて言葉を組み立てています。幼い頃には難しい思考や、言語化能力が必要です。
もちろんだからといって、うそを推奨するわけではありません。大切なのは、うそをついたときに「うそはいけない」と叱るだけで終わらせないことです。なぜそう言ったのか、どうすれば正直に伝えられたのかを一緒に考えることで、子どもの言葉の力や思考力はさらに伸びていきます。
言葉の力を育てる方法として、「うそ」を取り入れたゲームに興じるのも有効です。拙著『こども言語化大全』では、「それらしい理由をつけて説明するゲーム」や「あり得ない話をもっともらしく語るゲーム」なども紹介しています。相手が納得しそうな理由を考えたり、筋の通った説明を考えたりする過程で、子どもは言葉を組み立てる力を磨いていきます。
うそという行動の背景には、子どもの未熟さだけでなく、成長の兆しも含まれています。
大切なのは、“うそ=悪いこと”とステレオタイプに評価するのではなく、「この子はどんな思考をしたのだろう」と想像することです。「うそ」は、ときに他者への配慮や思いやりという形で、その能力が発揮されることもあります。
大事なのは、親や大人が「うそには功罪の両面がある」ことを理解していることです。
*本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。






