寿司を握る板前写真はイメージです Photo:PIXTA

「寿司職人になるには10年修業が必要」と言われてきた。しかし、寿司スクールに通えば短期間で技術を身につけられる今、昔ながらの“修業”は本当に必要なのだろうか。魚のプロが解説する。※本稿は、おさかなコーディネータのながさき一生『最強の寿司ビジネス』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

寿司職人は本当に
2カ月で育つのか

 近年、「寿司職人は2カ月で育つ」「長い修業はいらない」といった言葉を、以前よりも頻繁に耳にするようになりました。その象徴的な存在が、東京すしアカデミーに代表される寿司スクールです。

 東京すしアカデミーは2002年に開校しました。寿司職人を短期間で育成することを目的とした、世界でも先駆的な教育機関です。これまでに国内外で数千人規模の卒業生を輩出し、海外校も含めると、その影響力は世界中に広がっています。特に海外では、「何年も下積みをしなければ寿司を握れない」という日本独特の修業文化が障壁となっていたため、体系的に寿司を学べる仕組みは強く求められてきました。

 こうした背景から、寿司スクールは寿司業界に大きな変化をもたらしました。人手不足への対応、海外展開の加速、修業の非効率さへの疑問。そうした課題に対する1つの答えが、「短期間で寿司を学ぶ」という発想だったのです。

 寿司スクールで学べることは決して少なくありません。シャリの炊き方や合わせ方、包丁の使い方、魚の切り付け、握りの基本動作。衛生管理や食材知識、オペレーションまで含めれば、実践的な内容が短期間で身につきます。一定水準の寿司を、再現性高く提供するための「技術」は、確かに学べます。