年間100世帯以上の相談にのる発達障害専門のFPで、ADHD当事者でもある岩切健一郎氏が書いた『発達障害かもだけど、お金のこと ちゃんとしたい人の本』が発売中だ。本書には「ここまで寄り添ってくれるお金の本は初めて!」「お金に苦手感のある人は全員読んだ方がいい」など、発達障害の有無にかかわらず、多くの口コミが寄せられている。
4月2日~8日は発達障害啓発週間。それに伴い、著述家で、ADHD当事者でもある小鳥遊(たかなし)さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)
※現在、正式な診断名は「発達障害」から「神経発達症」へ変更になっていますが、この連載では広く知られている「発達障害」という表現を用います。

贅沢はしてないのに「貯金が減少する人」が無意識にやっている、毎日の生活習慣Photo: Adobe Stock

毎晩5000円の「おまかせ」イタリアン

『発達障害かもだけど、お金のことちゃんとしたい人の本』には、著者自身のかなり強烈なエピソードが出てきます。そのひとつがこちら。

 毎晩のようにイタリア料理店で「おまかせ」で食事をしていました
 メニューから自分で選ぶのではなく「食べるものはシェフに任せます」というスタンスです。
 1回の食事代は安くても2000円、高い日は5000円を超えていました。
 これがほぼ毎日です。

『発達障害かもだけど、お金のことちゃんとしたい人の本』(P.95)

「自分はそこまでじゃない」と思ったことでしょう。
 でも、こういうものには心が動きませんか。

コンビニスイーツで、自分へのご褒美」
雰囲気あるカフェで美味しいコーヒーとともにノマドワーク」
おしゃれな美容室で、心身ともにリフレッシュ」

 著者のエピソードを対岸の火事として眺めていた私も、こういった「ちょっとイイもの」に確実にお金を吸われています
 しかも厄介なのは、「このくらいは必要」「このくらいは別にいい」と思っていて、贅沢をしている感覚がないことです。

 そんな私に、先日かなり怖い事実が突きつけられました。
 一昨年より去年のほうが収入は数十万円上がったにもかかわらず、手元に残ったお金は減っていたのです。増えたはずなのに、減っている。これはかなり不気味です。

 もちろん理由は一つではありません。
 でも、毎日のコーヒー、外食、美容室のような「ちょっとイイもの」が、気づかないうちに家計をじわじわ削っていたのではないか。そう思うと、かなりぞっとしました。

イイものを買わなくても「幸福度は下がらない」

 本書は、この状態を「イイもの依存」と呼び、そこからの脱却のしかたを教えてくれます。それは、「節約を頑張りましょう」という大味な精神論ではありません。

 まずは、イイもの依存に陥っていることに気付くこと、本人の思い込みを解除することから始めます。
 そのために有効な方法は、第三者の目です。家族やパートナー、医師、FPのようなお金の専門家など、誰でもいいので、自分の出費について指摘してくれる人の存在がとても大切です。

(中略)

 イイもの依存であることに気付いたら、次に、イイものを買わなくても「幸福度は下がらない」という実感を得る必要があります。

『発達障害かもだけど、お金のことちゃんとしたい人の本』(P.97)

 本の中ではこの一文以降、イイもの依存から脱するための仕組みを解説しています。

 お金の問題を、自分のだらしなさや意志の弱さとして責めるのではなく、仕組みで立て直す
 この視点は、本書の大きな魅力の一つです。

 読んで気持ちが楽になる本でもありますが、まずギクッとさせられる本。でも、そのギクッの先に、イイものを買わなくても「幸福度は下がらない」という出口がちゃんと用意されている。

「贅沢していないのに、お金が残らない」と思っている人にこそ、読んでほしい本です。