年間100世帯以上の相談にのる発達障害専門のFPで、ADHD当事者でもある岩切健一郎氏が書いた『発達障害かもだけど、お金のこと ちゃんとしたい人の本』が発売中だ。本書には「ここまで寄り添ってくれるお金の本は初めて!」「お金に苦手感のある人は全員読んだ方がいい」など、発達障害の有無にかかわらず、多くの口コミが寄せられている。
4月2日~8日は発達障害啓発週間。それに伴い、著述家で、ADHD当事者でもある小鳥遊(たかなし)さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)
※現在、正式な診断名は「発達障害」から「神経発達症」へ変更になっていますが、この連載では広く知られている「発達障害」という表現を用います。

「子どもが発達障害かも…」。その瞬間から、親の暮らしは一変するという現実Photo: Adobe Stock

発達障害の子を持つ親には、見えにくい負担がのしかかる

「子どもが発達障害かもしれない」。
 その瞬間から、親の暮らしは総力戦になります。

 発達障害がきっかけで学校生活がうまくいかなくなれば、不登校になることもあります。
 そうなれば、学習の手段を別に確保し、その子が安心して過ごせる居場所も探さなければなりません。
 家に閉じこもりきりにしないための工夫や外出にも、手間もお金もかかります。

 必要なお金は増える。
 けれど、その対応を担うのは多くの場合親であり、そのぶん時間も気力も奪われ、これまで通りには働けなくなる。

 出費は増えるのに、稼ぐ自由は減っていくという現実

 発達障害のある子を持つ親は、障害特性への対応そのものだけでなく、その周辺に果てしなく広がる困りごとまで引き受けることがあるのです。

使える制度や考え方が、親を救う

『発達障害かもだけど、お金のこと ちゃんとしたい人の本』には、「障害のある子どものいる家庭がもらえるお金」という項目があります。

 例えば、配偶者のどちらかが子どもの面倒を見るために働けなかったり、放課後デイに通うための料金が発生したり、その他にもカウンセリング代や医療費がかかったりする場合があります。

 正直、お金はかかります。ですから、お子さんとその親御さんが安心して暮らせる環境を整える助けにしていただきたいです。

『発達障害かもだけど、お金のこと ちゃんとしたい人の本』(P.166)

 この一節から分かるのは、「お金はかかる」という現実の、その先まで見ているということです。実際、本書ではお金に関するさまざまな制度やサービスを紹介しています。

 お金があることで、

 ・親が少し息をつける
 ・追い詰められた中でも、選べる手段が増える
 ・子どもと親が安心して暮らせる環境に近づいていける

 発達障害専門FPとして多くの人の相談を受けてきた筆者だからこそ、そこに書かれているのは単なる知識ではなく、困っている人の現実に根ざした言葉なのだと思います。

 本書は、お金の本であるだけでなく、困りごとの真っ只中にいる人に「まだ打てる手がある」と思わせてくれる本でもあるのです。