illustration:Namthip Muanthongthae/gettyimages
新興企業(スタートアップ)の従業員にとって良い時代がやって来た。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)のある卒業生は、エントリーレベルのソフトウエアエンジニア職を得たが、その年俸は22万ドル(約3500万円)だった。これは彼を採用した企業が明らかにしたもので、しかも株式を含まない金額だという。
スタートアップは長い間、低めの基本給を手厚い株式報酬(現金化できるとは限らない)で補うことで知られてきた。その考え方は、イグジット(創業者や出資者が保有株式を売却して投資資金を回収すること)や新規株式公開(IPO)の際に大きな見返りを得られる可能性を示して、人材を引き留めるというものだった。
最近では、高成長の人工知能(AI)系スタートアップがベンチャーキャピタル(VC)から潤沢な資金を得ている。これに人材市場での競争激化が相まって、より高額な報酬オファーが増えているほか、インセンティブの仕組みもますます工夫されたものになっている。
「限られた人材プールから引き抜きたいと誰もが考えている」ため、報酬が上昇している。カーソルやバーセルなどのスタートアップに人材を紹介してきた人材紹介会社キャンディデート・ラボ(Candidate Labs)のマイケル・チャン最高経営責任者(CEO)はそう語る。
「最近資金調達したスタートアップの多くは、1年前なら目を見張るような報酬だったものを、今なら当然と考え、疑問なく支払っている」と同氏は言う。
多くのスタートアップは、無駄を省き規模が大きくならないよう注力しているため、採用するのはトップクラスの人材である必要がある。これはテック業界に二極化した経済を生み出している。上位5~10%の候補者が全てのオファーを得ており、残りは苦戦していると、採用担当者らは語る。
「『10倍(平均的な人の10倍の成果を生み出す人材)』や『バー・レイザー(採用基準を引き上げる役割の人)』といった用語が頻繁に使われている」とチャン氏は言う。「彼らはトップクラス人材だけを求めている」







