AI産業戦争 米中覇権に呑まれる日本#13Photo by Masato Kato

AI(人工知能)半導体の需要が急激に拡大し、台湾積体電路製造(TSMC)が最大560億ドル(約8.6兆円、前年比で約37%増)の設備投資を計画するなど、世界の大手半導体メーカーは過去最大規模の設備投資に乗り出した。AI巨額投資の最前線で、何が起こっているのか。特集『AI産業戦争 米中覇権に呑まれる日本』の#13では、半導体製造装置の出荷を拡大している東京エレクトロンの河合利樹社長に、半導体投資の実態を聞いた。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

AIサーバーの需要で半導体の設備投資が拡大
半導体製造装置市場「すごい勢いで向上している」

――米巨大テック企業が巨額の設備投資を発表し、大手半導体企業も設備投資の増強に動いています。東京エレクトロンも2026年の半導体前工程製造装置(WFE)市場が前年比15%以上の成長になるという予想を発表しましたが、AIの需要の強さをどのように感じていますか。

 昨年末と比べても全く違う強い需要があると感じています。徐々にというか、すごい勢いで向上しているイメージです。

 AIの実装が進んで、AIサーバー向けの半導体の設備投資が大きくなるという話がたくさん出てきました。WFE市場全体で「15%以上」と予想しましたが、われわれに対する顧客の引き合いだけ見れば、前年比20%以上の増加もあり得ると思います。

 実際に需要の強さを感じ始めたのは25年10月です。その頃に「来年(26年)は設備投資を増加するので装置納入の前倒しをお願いしたい」といった話が徐々に増えて、昨年末から今年にかけて、さらに需要が強まっていることが明らかになってきた。

 足元では、ほぼ全ての顧客から納期の前倒し要求が来ています。当初は装置納入の前倒し要請だったけれども、今はそこから追加の装置の注文が来ていて、日に日に需要が強くなっている状況です。

――今年に入って半導体メーカーが相次いで設備投資の増額を発表しました。半導体製造装置の納入が増えますが、クリーンルームのスペースが足りないという問題も指摘されています。

 AIの需要増加に対して、顧客は設備投資の加速を繰り返し、装置を追加発注するという計画を立てています。それだけ増えると今後は、顧客の工場に装置を置くスペースが足りなくなってきます。

 顧客の中には古い設備を移設して場所を確保するところもありますが、基本的にほぼ全ての顧客は、新しい工場を建てたり買収したりして、装置を置くスペースを確保しています。クリーンルームのスペース増強が足りるのか、それが急な需要に間に合うかどうかという問題は、今年の半導体製造装置の市場拡大の制約要因になる可能性があります。

「やっぱり来た」――。巨大テックのAI投資と半導体メーカーの設備投資計画の増額を背景に、東京エレクトロンの河合社長は、半導体製造装置の需要に強い手応えを感じている。次ページでは、急拡大する半導体設備投資の実態とともに、TSMCのアリゾナ工場をはじめ、米トランプ政権下で半導体投資が加速する米国市場や、中国市場の動向に迫る。