【税務署も容赦なし】相続不動産を売った人が青ざめる「5%ルール」とは?
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。

【税務署も容赦なし】相続不動産を売った人が青ざめる「5%ルール」とは?Photo: Adobe Stock

【税務署も容赦なし】相続不動産を売った人が青ざめる「5%ルール」

 本日は「身近な人が亡くなったときの手続」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合った方も多いかと思います。ぜひ参考にしてください。

 相続した不動産を売却した場合の税金の考え方を解説します。最大のポイントは、売却金額と比較する購入金額は、相続したときの価格ではなく、故人が買ったときの金額を採用する点です。

 例えば、父が30年前に5000万円で買った土地を、子どもが相続して(そのときの時価8000万円)、その後に子どもが8000万円で売却したとします。この場合、譲渡所得の金額は8000万円から5000万円を引いた3000万円になります。

 この取り扱いは、先祖代々から引き継がれている不動産でも同じです。先祖が買ったときの金額を使って、譲渡所得を計算しなければいけないのです。終戦前後の時代では、今と比べると、非常に低い金額で取引されていました。そのため、先祖代々から持っているような土地の場合には、売った金額のほとんどが譲渡所得となるため、多額の所得税と住民税が発生します。

不動産の購入価額がわからなくなった場合

 皆さんは、ご両親が現在住んでいる不動産を、ご両親がいくらで購入したか、おわかりになりますか?「なんとなくはわかりますが、正確にはちょっと……」という方がほとんどだと思います。

 ただ、故人が購入した金額がわからないと、譲渡所得の計算ができません。その場合、非常につらいルールが適用されます。

 その名も5%ルール。これは、購入金額がわからなくなってしまった場合には、「売った金額の5%を購入金額とみなして譲渡所得の計算をしなければいけない」というルールです。

・父から相続した不動産が1億円で売却できた
・しかし、父がいくらでこの不動産を買ったのかはわからない

 この場合、売却した金額1億円の5%にあたる500万円が購入金額と扱われます。その結果、1億円から500万円を引いた9500万円が譲渡所得になり、ここに20.315%の税金がかかりますので、2000万円弱の税金を払わなければいけません!

【税務署も容赦なし】相続不動産を売った人が青ざめる「5%ルール」とは?出典:ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】

「父はそんな安い金額で買ったはずはない」という声が聞こえてきそうですが、残念ながら国が定めたルールですので仕方ありません。

 購入時の契約書などが残っていれば過去に購入したときの金額がわかるのですが、捨ててしまうと金額を明確にすることはなかなかできません。なお、権利証には通常、購入金額は書かれていませんので、権利証だけあっても購入金額を明らかにすることは難しいです。このような事態にならないようにするためにも、不動産をいくらで購入したかは、必ずわかるようにしておかないといけません。

税務署と戦う方法とは?

 なお、合理的に過去の購入金額を算出し、その金額を税務署に納得させることができれば、それを購入金額として申告することも認められます。

 例えば、購入した不動産会社が今もあるなら、購入当時のチラシやパンフレットを探してもらうのも1つの手です。登記簿謄本の抵当権の欄で、購入時にいくらのローンを組んでいたのかがわかるので、そこから推測していく方法もあります。

 いずれにしても、税務署を納得させるには、かなりの理論武装が必要になります。これまで、この手の相談に対応してきた実績のある不動産鑑定士であれば、過去の購入金額を合理的に算出することが可能です。ただ、最終的に税務署にそれを認めさせられるかどうかは確定申告書を提出する税理士の腕次第になります。相続や不動産売却(この分野のことを業界用語で「資産税」といいます)に強い税理士に相談しましょう。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)