歓迎会をやるべき
シンプルな理由

 特に大事なのは行動規範です。この会社では何を大切にし、どんな行動が求められるのかを、曖昧にせず伝える必要があります。私は以前から、組織は「規律の中の自由」で成り立つと、折に触れてコラムで取り上げてきました。

 自由に働いてもらうためにも、守るべき規律は明確でなければなりません。採用したから大丈夫と考えるのではなく、入社のタイミングで会社としてのルールを改めて確認しておくことが、組織の土台を守ることにつながります。

 歓迎の場をつくることも、忘れてはなりません。歓迎会でも食事会でも構いません。とにかく歓迎の場があれば、本人は「自分は歓迎されているんだ」と感じるものです。

 新しく入った人が「自分は受け入れられている」「大事にされている」と感じられることは、実はとても大きいのです。そうした実感が安心感につながり、結果として本来の力も出しやすくなります。

 一方で、早く活躍してほしいという気持ちは分かりますが、最初からノルマばかりを強調するのは避けるべきです。入ってすぐの段階から数字ばかりを求めると、本人は力を発揮する前に萎縮してしまいます。まずは社風やルールを理解し、自分の役割をつかみ、周囲との関係をつくることに力を注いでもらうべきです。

守るべきルールだけでなく
利用できる制度についても説明しておく

 成果を急かすことは禁物ですが、規律については最初から明確にすべきです。ルールを守り、その場その場で全力を尽くすことは、社会人としての基本です。パワハラやセクハラは絶対に許されないということも、入社時に明確に伝えておく必要があります。

 さらに、権利や制度についても最初の段階で具体的に説明しておくべきです。私の会社では、1人あたり年間10万円ずつの図書費と研修費の補助を用意しており、休暇も1時間単位で取得できます。こうした制度は知らせておかなければ、せっかく用意しても生かされません。

 同時に、守るべきルールの線引きも具体的に示しておかなければなりません。例えば、交通費の精算などにおいて、公私を混同するような使い方は絶対に許されないという線引きをしています。最初に明確にしておくことが、本人のためにも組織のためにもなるのです。

 新しい人に早く活躍してもらいたいのなら、急がせるのではなく、まずは組織になじんでもらうことです。そしてお互いに人となりを知り、会社の目的を共有し、行動規範と制度を丁寧に伝え、歓迎されていると実感してもらうことが大切です。

 新人を迎える新年度にリーダーに求められるのは、「すぐに成果を求める」ことではなく、「安心して力を出せる環境を整える」ことなのです。