退職届を持って座り込む男性写真はイメージです Photo:PIXTA

思い出したくもない上司と顔を合わせずに会社を辞められる「退職代行」。「気まずい思いをしたくない」と安易に利用する人が急増しています。「ラクに辞められてラッキー」と思っていると、後になって取り返しのつかない後悔をすることになります。「転職活動で不利になる」のは序の口で、実はあなたの人生を狂わせるもっと恐ろしい“目に見えない代償”が存在するのです。安易な外注がもたらす自業自得な末路とは?(文/心理学者・立正大学客員教授 内藤誼人)

退職代行を使った人を
待ち受ける3つの代償

「辞めます」と自分で言うのは、気が重いものです。上司に引き止められるかもしれない。気まずい空気になるかもしれない。できれば誰かに代わりに言ってほしい。退職代行サービスが広がっている背景には、そうした心理があるのでしょう。

 ただ、ここで考えたいのは、ラクに辞められることと、その後もうまくいくことは別だという点です。

 退職代行を使えば、その場のしんどさは回避できます。けれども、「面倒な対人交渉を全部外注する」という選択には、あとから効いてくる代償があります。

 まず大きいのは、人間関係の終わらせ方が雑になりやすいことです。

 本来、退職は「辞める」という一言だけで終わりません。引き継ぎ、関係者への説明、最後の挨拶など、きちんと締めるべきことがいくつもあります。そこをすべて他人任せにすると、周囲には「最後まで責任を持たない人だった」という印象が残りやすい。たとえ本人に事情があっても、外からはそう見えます。

 次に、転職活動や次の職場で説明しづらくなることです。転職活動では、前職をどう辞めたかをどこかで問われます。

 そのとき「自分で退職を伝えず、代行に任せました」と言えば、相手は当然こう考えます。困った場面から逃げやすい人ではないか。対人調整が苦手なのではないか。うちでも同じことをするのではないか――。

 退職代行を使った事実そのものより、面倒な局面を自分で処理しなかったことが、評価に響くのです。