ドナルド・トランプ米大統領が壊滅的な攻撃を実施するとしていた期限の数時間前に、イランと米国が停戦に合意した。それは多くの意味で、疲弊していたイランの体制にとって勝利の瞬間となった。イランは米国とイスラエルとの38日間の戦争を経て、最大の目標である自国の生き残りを確保した。そのうえでホルムズ海峡の支配権と、長年の敵対国による大規模攻撃に対する新たな抑止力という二つの潜在的な戦略的利益を手にした。イランには戦争で多大な軍事的損失が生じたものの、世界の石油輸出の20%を担う重要なホルムズ海峡への支配について当面崩れることはないとみられる。イラン政府が取った非対称戦術は、米国とイスラエルの軍事的優位を相殺するために綿密に計画されており、トランプ氏に戦闘停止を迫る圧力を高めた。その結果として、停戦はイランの体制転覆、核開発計画の終結、そして近隣諸国を脅かす能力の排除といった米国とイスラエルの遠大な目標が達成されないまま発効した。