健康診断への組み込みという提案

では、どうすればより良い運用ができるのでしょうか? 私としては、義務化されている健康診断のついでに行ってしまえばいいのではないかと考えています。

現在のアンケート形式ではなく、健康診断の際に医師が記入する項目の中に、メンタルチェックの項目も入れてしまうのです。その時の医師との面談や問診の中で、「少し精神科で診てもらったほうがいいかもしれない」と判断された人にだけ受診を促すシステムにすると、より効率的ではないでしょうか。

検査漏れも防げますし、何より一度は医師と直接顔を合わせているわけですから、現状の一律のアンケート方式よりも実態に合っていると思います。なぜそのような仕組みにならないのか、工夫の余地は大いにあると感じています。

ストレスチェックを受ける皆さんへ(安心してください)

実際にストレスチェックを受ける皆さんに伝えたいことがあります。

「アンケートで本音を書くと、会社の査定に響くのではないか」と心配される方がいますが、そのようなことはあり得ませんので安心してください。

また、「ストレスチェックで引っかかって精神科を受診しろと言われたら、会社を休まされるのではないか」と不安になる方も多いです。しかし、実際にはそれでうつ病が見つかるケースは、私自身の経験からするとほとんどありません。「受診の指示が出た=この人は休職するかもしれない」と会社が判断するケースはほぼありません。あくまで会社のルールとして行っているだけです。

運用にはもっと工夫の余地がある

今回は、対象者が拡大されるストレスチェック制度について、現場の実態をお話ししました。制度自体に反論するつもりはありませんが、運用方法にはもっと工夫の余地があるのではないか、というのが現場の精神科医としての率直な意見です。

皆さんは、あまり深刻に捉えすぎず、安心してテストを受けていただければと思います。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。