新興企業でヒューマンAIソリューション責任者を務めるザック・キンズラーさんは、成長分野に身を置けて幸運だと感じると話した新興企業でヒューマンAIソリューション責任者を務めるザック・キンズラーさんは、成長分野に身を置けて幸運だと感じると話した Photo: John Francis Peters for WSJ

 人工知能(AI)は、雇用喪失をもたらすとの懸念を引き起こしている一方、新たなキャリアも次々と創出している。

 リンクトインによる求人データの分析によれば、AIは2023年から25年の間に米国で64万件の雇用を創出した。これにはAI責任者やAIエンジニアといった新たなホワイトカラー職が含まれる。この数字には、AIの基盤となる巨大データセンターの建設に伴う膨大な数の一時的雇用は含まれていない。

 リンクトインの経済部門責任者、コリー・カンテンガ氏は「労働市場の方向性を変えるほどの雇用の数ではない」とした上で、「AI関連の職種については、ほぼ一貫して増加している」と指摘した。

 急速に出現している新たな職種は、AIのパフォーマンスを向上させ、より多くのタスクを引き受けられるようにAIを訓練し、人間が仕事でAIを使えるよう訓練するのに役立っている。 これらの職種は、AI戦略における高度なキャリアから時給制の仕事まで多岐にわたる。 こうした新規雇用者の多くはAI企業で直接働いているが、金融、医療、製造業などの他の業界も、AI技術を活用しようとする中で人材を積極的に採用している。

 2年足らず前にビジネス分析の修士号を取得したザック・キンズラーさん(25)は、2月にコロラド州コロラドスプリングスを拠点とするAI教育関連のスタートアップ、ブードルボックスで「ヒューマンAIソリューション責任者」の肩書を得た。顧客への研修や、AIを用いた社内業務の迅速化を担う。

 カリフォルニア州サンディエゴからリモートで働く彼は、AIを使った仕事を志望していたとし、成長分野に身を置けて幸運だと感じると語った。

「AIが良いか悪いかという議論はやめる必要がある。 AIはなくならないのだから」

仕事の後にサーフィンをするキンズラーさん。新しい仕事の多くをリアルタイムで学んでいる仕事の後にサーフィンをするキンズラーさん。新しい仕事の多くをリアルタイムで学んでいる Photo: John Francis Peters for WSJ

 特にホワイトカラー労働者に厳しい状況となっている不安定な米労働市場が直面する大きな疑問の一つは、調査、執筆、プログラミングといった人間のスキルを模倣するAIの能力が大規模なレイオフを引き起こすかどうかだ。米企業向けソフトウエア大手オラクルが今週、AIデータセンターへの巨額投資を続ける中で大幅な人員削減を開始したことは、こうした懸念の一部を浮き彫りにした。

 テクノロジー業界の一部を含む企業幹部らは、AIが大規模にホワイトカラー労働者を置き換える可能性について 厳しい見通し を示している。 ゴールドマン・サックス・リサーチの最近のリポートによると、AIは米国における全労働時間の4分の1を占める業務を自動化するかもしれず、特に管理サポート、法務、建築・エンジニアリングといった分野が対象になるという。

 それでもアナリストらは、 これまでの人員削減 のうちどの程度が本当にAIに起因するものなのか、またどの程度が財務上または業務上の理由で行われているかを判断するのは難しいと指摘している。最高財務責任者(CFO)750人を対象とした新たな調査では、AIは2025年において、雇用にほとんど悪影響を与えなかったことが明らかになった。