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“抽選に当たりさえすれば儲かる”として人気のIPO株(新規公開株)。だが、2026年のIPOは、“年初から7銘柄連続で公開価格割れ”という異例の事態に見舞われた。中東情勢は一因ではあるが、それだけでは説明がつかない。もっと根本的な理由があるはずだ。IPO市場に起きている大きな変化と、投資家が取るべき対応を探る!(河野拓郎、ダイヤモンド・ザイ編集部)
年初の公開価格割れは過去10年で1回
“そこから7連敗”は例がない
なかなか抽選に当たらない、だが当選さえすれば株価2倍・3倍も──そんな期待とともに、IPO株(新規公開株)に興味を持っている人は多いだろう。そのIPO株が、異例の事態に見舞われている。2026年に入ってから、7銘柄連続で初値が「公開価格割れ」となったのだ。
例年1月は新規上場がないため、2月の最初のIPOが、その年の第1号となる。待ち構えていた投資家の“御祝儀買い”もあり、このIPO第1号の初値は公開価格比でプラスとなるのが普通だ。ところが2026年は違った。2月13日に上場したTOブックスの初値は、マイナス8.1%。過去10年で初値がマイナスのスタートになったのは、2022年の1回しかない。
それどころか、4月2日上場のビタブリッドジャパンまで、7銘柄連続で公開価格割れとなった。“7連敗”はコロナショック真っ最中の2020年3月以来で、年初からとなると初の記録だ。ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチのアナリストで長年にわたりIPO市場を分析してきた小林大純さんは、「“たまたま”7連敗になることはあり得ない」という。いったい何が起きているのか。
要因を探る前に、「初値」と「公開価格」について簡単に説明しておこう。
IPO株は上場前に、まず上場する企業と主幹事の証券会社が、売り出す価格帯(仮条件)を設定する。次に仮条件内で、投資家がいくらで、何株くらい買いたいかを申告(ブックビルディング)。その需要を参考にして「公開価格」が決められ、抽選に当たった投資家は、上場前の株を公開価格で購入することができる。なお、新規公開株の抽選対象となるためには、ブックビルディングへの参加が求められる。
そして、晴れて市場に上場され、最初につけた株価が「初値」だ。公開価格は適正価格より2~3割安く設定される慣行があり、従来、初値は公開価格より高くなることが多かった。注目度の高い銘柄なら、公開価格の2倍、3倍となることも珍しくなかった。だからこそ、簡単には抽選に当たらないほど人気なのだ。初値が公開価格を下回る「公開価格割れ」は、“これくらいなら投資家が買ってくれるはず”という想定を、実際の買い意欲が下回ってしまったことを意味する。
現実には初値が公開価格を上回るとは限らないのだが、7銘柄連続でマイナスは明らかに異常事態だ。








