Xで拡散されたジェフ・ベゾス氏のミームは「状況注視」の概念を簡潔に表しているPHOTO ILLUSTRATION: VICTORIA ROSSELLI/WSJ, WORLD MONITOR
ドナルド・トランプ米大統領の一般教書演説の日、ミネソタ州ミネアポリス在住のフォスター・マッコイさん(28)は「状況を注視する」ため、明るい光を放つ二つの画面の前に腰を下ろした。
それらの画面――49インチの曲面モニターの下に小型のタッチスクリーンが設置されている――には、予測市場プラットフォーム「カルシ」のタブや通話アプリ「ディスコード」のチャット、ソーシャルメディアのフィードを自動で更新するツール、ニュースの生放送が表示されていた。
マッコイさんはこれらのデータを総動員して、トランプ氏の末っ子のバロンさんが演説会場に姿を見せることに賭けようとしていた。
「バロン・トランプが来ることを人々が突き止めた唯一の手段が、エリック・トランプのインスタグラムのストーリーだった」と彼は言う。「インスタグラムでエリック氏をフォローしていれば、トランプ氏の子ども全員が写った自撮り写真を投稿していたことに気づいたはずだ。全員スーツ姿で、一般教書演説に向かおうとしていた」
マッコイさんによると、バロンさんの姿が一度確認されたことで、関連の予測市場――トランプ氏が演説中に子どもたちに呼びかけるかや、賭けの対象となっている特定の言葉を使うかなど――にドミノ倒しのごとく連鎖的に影響が生じた。マッコイさんは一般教書演説に関する一連の賭けで、約1万ドル(約160万円)の利益を手にしたと話した(ブラックジャックのディーラーだったマッコイさんは、昔から確率や数学パズルに関心があったという)。
かつて「ドゥームスクローリング(画面をスクロールして悪いニュースを見続ける行為)」と呼ばれたこうした行動は、何でも賭けの対象になる今の時代の言葉で言えば、全て「状況を注視」しているということになる。取引所の立会場で働いた経験がない金融の素人が自分で情報を集めて取引を行い、市場を動かしている。中にはひと財産築いた人もいる。







