ベゾス氏vsマスク氏、激化する宇宙競争Photo:Miguel J. Rodriguez Carrillo/gettyimages

 今年のある日、ジェフ・ベゾス氏はソーシャルメディアのXにカメの写真を投稿した。

 写真の説明はなかった。だが宇宙産業に精通するマニアたちは即座に真意を読み取り、 アマゾン・ドット・コム 創業者のベゾス氏を、宇宙を目指す2人の競争において、遅くても着実に歩みを進める人物だと捉えた。

 ウサギは誰か。それはスペースXの最高経営責任者(CEO)で創業者のイーロン・マスク氏だろう。同社は長年、ロケットの製造、衛星の設計、人類の宇宙進出において、ベゾス氏率いる企業の取り組みを大きく引き離してきた。

 今週、ベゾス氏は前進する姿勢を見せた。アマゾンは立ち上げ間もない衛星インターネット事業を強化するため、約110億ドル(約1兆7500億円)を投じて衛星通信事業者 グローバルスター を買収し、 アップル と契約を結んだ。一方、ベゾス氏のロケット開発会社ブルーオリジンは大型ロケット「ニューグレン」の次回打ち上げに向けて準備を進めており、初めて商業用ペイロード(搭載物)を運ぶ予定だ。

 そして米航空宇宙局(NASA)による月探査の有人ミッション「アルテミス」の次の計画を巡っては、ブルーオリジンはスペースXに追いつくか、あるいは追い越す機会があると見ている。ブルーオリジンは今年、月面に貨物輸送機を打ち上げる計画を立てている。この着陸機は、宇宙飛行士を迅速に月面に再び送り届けるための設計に役立つ情報をもたらす見込みだ。

異なるアプローチ

 スペースXがロケットの製造と打ち上げにおいてブルーオリジンをはるかにリードしていることは疑いの余地がない。スペースXは主力ロケット「ファルコン9」を頼りに、米国内外の競合他社より頻繁に打ち上げを行っており、打ち上げ事業において他社が太刀打ちできない 支配的な地位 を築いている。

 ベゾス氏が2000年に創業したブルーオリジンのアプローチは、より秩序だったものだ。スペースXがロケットを打ち上げ、爆発させ、再び打ち上げてシステムを学習し完成させるのに何年も費やした一方で、ブルーオリジンは、最初の打ち上げから機能するロケット「ニューグレン」の開発に専念してきた。