ちなみに、ネット上ではよく次のような表現まで二重敬語だと指摘する誤った解説も見かけます。例えば、先に挙げた文の「なっている」の部分を丁寧に言い換えたものです。

「ランチをお召し上がりになっていらっしゃいます」
「手紙をお書きになっていらっしゃいます」
「本をお読みになっていらっしゃいます」

りすぎないほどよい敬語を生かせたら、目の前にいる相手を大事に思う気持ちを率直にさりげなく表せます。大切なのは、正しさ以上に「ほどのよさ」(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 いずれも「お……になる」と「いらっしゃいます」を接続助詞「て」でつないだ敬語連結。冗長な感じがあるのは確かですが、二重敬語には当たらず、誤用ではありません。

 言葉は人と人をつなぐ糸。ちょっとした違和感があれば、その言葉を解きほぐし、紡ぎ直します。大切なのは、正しさ以上に「ほどのよさ」。盛りすぎないほどよい敬語を生かせたら、目の前にいる相手を大事に思う気持ちを率直にさりげなく表せます。

 ビジネスにおいても、ごまかしのない本質を捉えた会話が成り立つでしょう。「この人とまた会いたい」「こんな人に仕事を頼みたい」と思われたり、ふとした瞬間に心地よい空気が流れたり……盛りすぎないからこその誠実さと潔さがもたらす恩恵です。