「お名前いただけますか?」「頑張らせていただきます!」「書類のほうをお送りします」…つい言っていませんか。その敬語、丁寧に言おうとするあまり、おかしな日本語になっています。文章術講師でコピーライターの前田めぐるさんの著書『その敬語、盛りすぎです!』(青春出版社)から、ついやってしまいがちな「盛りすぎ」な敬語と正しい使い方を抜粋してご紹介します。
「お名前様をいただけますか」「お名前を頂戴できますか」
――どちらもあげられません
「お名前様を頂戴できますか」
名前の聞き方にこんな誤用があると知ってはいましたが、実際に聞くと、やはり「まさか」と思うものです。指摘するのも大人気ないかと「えーっと。名前を書けばいいですね」と素直に名前を書きました。
もしも、ここで「お名前様、って誰ですか」とでも聞いたとしたら、「あっ、『様』がいけなかったですよね。では、お名前を頂戴できますか」と返ってきたかもしれません。
ダメです、嫌です、「お名前」もさしあげられません。
混乱したら、元の言葉に戻すのが基本。「お名前様を頂戴できますか/お名前を頂戴できますか」を敬語なしで言うとすれば「名前をくれるか」です。
名前はあげられませんよね。襲名したかったり、名付け親になってほしかったり、相手の名前を我が子に付けたかったり……そんな特殊な状況なら分かります。
そうではなく、何かを買ったときや宿泊するときに「名前をくれるか」は不適切です。