2025年10月4日、自民党両院議員総会でのあいさつを終え、石破茂元首相(左)と握手する高市早苗首相(右)2025年10月4日、自民党両院議員総会でのあいさつを終え、石破茂元首相(左)と握手する高市早苗首相(右) Photo:JIJI

「どんなに批判されても靖国参拝を続ける」――そう語っていた高市総理ですが、就任後はあっさりと参拝を見送り、保守層から「行く行く詐欺」と大ブーイングを浴びています。さらに目玉公約の「消費減税」も、石破前政権時代に炎上した“レジの壁”に阻まれ、早急な物価高対策として実施することは絶望的な状況に。「これじゃ歴代の総理と何も変わらないじゃないか」という失望の声が広がる中、高市氏を追い詰める“自業自得な理由”とは何なのでしょうか?(ノンフィクションライター 窪田順生

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高市首相も抗えない
大きな力の正体

「日本国のトップになるようなことがあったら、ずっと参拝を続けたい思いだ」
「途中で参拝を止めたり、中途半端なことをするから相手がつけあがる面はある。どんなに批判されても淡々と続ける」(産経新聞 2022年2月19日)

 そんな勇ましいことをおっしゃっていた高市早苗氏がトップになった途端、靖国神社の参拝を止めてしまった。首相になる前までは毎年欠かさず行っていた春の例大祭に「真榊」と呼ばれる供え物を奉納しただけで参拝を見送ったのである。

 これを受けて、中国外務省は「A級戦犯が合祀されている靖国神社への奉納は歴史の公正さに対する冒とくだ」と日本に猛抗議。最近、関係が良好だった韓国も「深い失望と遺憾の意」を表明した。威勢のいいことを言っていたわりにあっさりと引っ込めるという情けなさに加えて、中韓からも叩かれてしまうという、まさに踏んだり蹴ったりだ。

 そんな「有言不実行」に対しては、現在の高市人気を支える「保守」の皆さんもガッカリしたようだ。SNSでは「嘘つき」「口だけ番長」「靖国行く行く詐欺」など厳しい批判が寄せられている。

「しゅ、首相になるといろいろ難しいことがあるんだよ!」「イラン情勢で国際社会の緊張が高まっている中で、中国を刺激しない配慮だろ、落ち着いたらきっと行ってくれるさ!」と、この行動をなんとか正当化したい、高市ファンの皆さんの気持ちは痛いほどわかる。だが、首相へのガッカリ感が広がっているのは「靖国参拝」だけではない。

 それは高市首相が「悲願」として掲げて、自民党の歴史的大勝にもつながった「食料品の消費税2年間ゼロの検討を加速する」という公約だ。

 ここに今、暗雲が立ち込めている。消費減税を議論する「社会保障国民会議」の実務者会議で、レジメーカーから「レジのシステム改修に1年以上かかる」という意見が出て、高市首相が目標として挙げていた「2026年度内の実施」が難しいという見通しが強まっているのだ。

 これは前政権で石破茂元首相が主張していたことと同じである。当時はSNSで「1年もかかるわけねえだろ」「すぐばれる言い訳」などとボロカスに叩かれ、その後の「石破おろし」を引き起こす要因にもなったが、実は正確な状況分析だったということだ(朝日新聞 2025年5月31日)。

 そんな石破元首相の「レジ炎上」から約1年、衆院選での高市フィーバーを経て「高市さんならきっとこれまでの首相と違う政治をやってくれる」と期待感は爆上がりした。

 しかし結局、上がっているのは株価と物価だけで、給料や所得はほとんど上向いていない。減税議論もなんやかんやと紆余曲折があっただけで、石破政権時の「レジの壁」に戻ってしまった。