「これをやっておいて」だけでは、人は動いても考えない。単調な作業に見える仕事ほど、「何のためか」が見えなければ、部下は自分を歯車だと感じてしまうのです。では、どうすればいいのでしょうか?
SNSでビジネススキルについて情報発信を行い、総フォロワー数が37万人を超え、『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった、誰でも「しごでき」になれる令和リーダーの基本を本記事で紹介します。

「これ、やっておいて」と言う人は仕事ができない。仕事ができる人はどう言う?

「指示」の前に「目的」を伝える

「毎日毎日、同じような作業ばかりで、何の役に立っているのかわからない」

部下がモチベーションを失い、組織を去っていく最大の理由。

それは給与の低さではなく、「自分が組織の歯車でしかない」と虚無感を抱くからです。

会社には、一見すると単調な作業が無数にあります。

しかし、目的のない仕事など一つも存在しません。

それなのに、多くの上司が「これをやっておいて」と作業だけを指示し、目的を伝えません。

さらに、部下のつくった成果物がズレていると「お前は何も考えていない」と叱責する。

これは部下が悪いのではありません。作業に「意味」を吹き込まなかった上司の責任です。

目的と指示はセットで伝える

私がいたコンサルティング会社の上司は、どんなに些細な作業でも、必ず「目的」とセットで指示を出していました。

作業そのものではなく、「その作業が最終的にどうなるか(目的)」を伝えていたのです。

【ケース1:会議の議事録・リスト作成】

×作業だけの指示:「今日の会議の発言をエクセルに一覧化して、明日の18時までに送って」

→部下は「文字起こしか、面倒だな」と思いながら、ただ機械的に入力します。

○目的を添えた指示:「今回のクライアントへの提案における『最優先課題』を特定したい。だから、今日の会議の発言を一覧化してほしい。君のリストが、提案書の骨子になるんだ」

→部下は「重要な提案の一部を担っている」と認識し、「課題になりそうな発言は太字にしておこう」といった工夫(思考)が生まれます。

【ケース2:郵便物の投函】

×作業だけの指示:「この未集金の案内通知、今日の17時までに出しておいて」

→部下は「郵便出しか、雑用だな」と思います。

○目的を添えた指示:「経理側でお客様のステータスを変更し、入金漏れを防ぐフローを回したい。お客様から電話が来たときに『通知済み』前提で案内できるようにしたいから、17時までに出してほしい」

→部下は「これが遅れると経理やコールセンターが困るんだな」と理解し、確実に遂行します。

「目的」を伝えると、「報連相」が劇的に改善する

このように、指示の前に「目的」を入れるだけで、部下にとってその仕事は「やらされ仕事」から「全体の流れをつくる重要なパーツ」へと変わります。

さらに、大きなメリットがあります。それは「報連相の質」が上がることです。

目的がわかっているからこそ、部下は「何が重要か」を自分で判断できます。

「郵便局が混んでいて17時に間に合いそうにありません。経理の方に一報入れておきますか?」

など、部下が自分の頭で考えて上司とコミュニケーションできるようになるのです。

「いちいち目的まで説明するのは面倒だ」と思うかもしれません。

しかし、優秀な上司ほど、この「一手間」を惜しまないのです。

作業に意味を持たせ、部下を「思考停止の作業者」から「自律したパートナー」に変える。

その魔法のスイッチが、「目的を伝える」という行為なのです。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』から一部を抜粋・編集し作成しました)