マイクロソフトのAI「コパイロット」 壁に直面マイクロソフトのサティア・ナデラCEO EMIL LENDOF/WSJ, GETTY IMAGES

 米マイクロソフトのチャットボット「コパイロット」は、米オープンAIとの 緊密な提携関係 が薄れる中、同社の人工知能(AI)戦略の中心的な存在となっている。しかし、コパイロットをオープンAIの「チャットGPT」の代替として構築する取り組みは困難を極めている。

 マイクロソフトのAI製品開発に携わった現・元従業員によると、コパイロットのブランドの位置付けが不明確なことや相互運用性の問題がユーザーをいら立たせている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認したデータでは、マイクロソフトの法人向け製品群の契約者のうちコパイロットを利用している割合は一部にとどまり、グーグルの「ジェミニ」や他のツールよりもコパイロットを好む割合がここ数カ月で低下していることが示された。

 コパイロットはマイクロソフトにとって重要な意味を持つ。サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)が約10年前にマイクロソフトを「クラウド第一」の企業に変革したのと同じように、コパイロットは同社を「AI第一」の企業に変革しようとする取り組みの中核だからだ。現・元幹部によると、このAIツールはナデラ氏の最優先事項の一つとなっている。

 ナデラ氏は昨年12月のブログ投稿で、AIの「初期の発見段階は過ぎた」とし、業界は「『見せかけ』と『実用性』を区別し始める」段階に入っていると指摘した。

ワシントン州レドモンドにあるマイクロソフト本社内の店舗ワシントン州レドモンドにあるマイクロソフト本社内の店舗
PHOTO: CHONA KASINGER FOR WSJ

 マイクロソフトはこれまでのところチャットボットを巡る競争で出遅れているとしても、AI主導のクラウドコンピューティング需要から数十億ドルを稼いでおり、世界で最も時価総額の高い企業の一角を占めている。アナリストらは、マイクロソフトの生産性向上ソフトウエアが数億人の法人ユーザーに使われており、新しいAI製品を容易に宣伝できる固定顧客層を持つため、同社は遅れを取り戻すのに有利な立場にあると見ている。

 マイクロソフトに投資しているワシントン・クロッシング・アドバイザーのシニアポートフォリオマネジャー、チャド・A・モーガンランダー氏は、コパイロットは現在苦戦しているものの、「マイクロソフトには確固たる顧客基盤があり、失敗を重ねながら最終的には正解にたどり着くだろう。同社にはこのマラソンを走り抜けるだけの十分な資金がある」との見解を示した。