【独占】AI開発を米国に任せきりでいいのか?→ピーター・ティールが日本人に警告「2つの罠のどちらかに陥る」PayPal、Palantir Technologiesの共同創業者であるピーター・ティール氏

AIがもたらす未来は、制御不能なテクノロジーによる「人類滅亡」か、それともそれを未然に防ぐという大義名分のもとに築かれる「世界政府による徹底監視社会」か。我々はこのディストピアへのカウントダウンを止める術を持たないのだろうか。第1回第2回第3回に続く、ピーター・ティール氏の熱血講義第4弾。(取材・構成/小倉健一)
※本稿は、3月6日行われた「ピーター・ティール氏 特別講演」電通ジャパン、電通総研 経済安全保障研究センター主催講演の抜粋に解説を加えたものです。

サム・アルトマンら
主要なAI研究者自身が語る見解は

 AIがもたらす未来は、制御不能なテクノロジーによる「人類滅亡」か、それともそれを未然に防ぐために築かれる「世界政府による監視社会」か。なぜ我々は、このような二者択一しか描けなくなってしまったのか。ティール氏は、現代社会が抱えるもう一つの巨大な不安である「気候変動問題」をアクチュアルな例として引き合いに出し、その根本原因が「本物の技術的解決策の不在」にあると看破する。

 私は天候をコントロールするといういかなる約束に対しても非常に懐疑的です。それらは通常、完全に「実現不可能な空頼み」だと思います。

 しかし、もし何か現実的なものがあれば――つまり、安価でゼロカーボンの核融合エネルギーを開発する現実的な方法があれば、右派も左派も突然同意するようになると思います。左派はゼロカーボン(炭素排出ゼロ)を求め、右派は安価なエネルギーを求めているからです。

 本物の技術的解決策があれば、大抵は政治的問題も解決します。気候変動に関して政治がこれほどまでに二極化しているという事実は、私たちが優れた技術的解決策を持っていないことをほぼ証明しているのです。

 私たちは、太陽光や風力では不十分であるといった機能しない解決策か、あるいは私たちをはるかに貧しくすることを要求する解決策しか持っていないのです。だから私たちはそれについて争うのです。もし本当のブレークスルーがあれば、政治的な争いは止まるでしょう。

 本物の技術的解決策(イノベーション)がないからこそ、人々はパニックに陥り、不十分な妥協案を巡って政治的に二極化し、極端な悲観論や全体主義的な規制の押し付け合いに走る。AIに対する「人類滅亡か、全体主義的な管理社会か」という二極化も、全く同じ構図の中にある。AI研究者たちはAIのリスクや規制についてどのような見解を持っているのか。

 AIを構築している人々は、(AIに対する)終末論的なシナリオを十分に認識しています。主要なAI研究者であるサム・アルトマン(OpenAI CEO)やデミス・ハサビス(Google DeepMind CEO)は、自分たち自身でそれについて語っています。