【独占】「AIはどこまで進化するのか」→ピーター・ティールの衝撃回答が「AIより怖い未来」だった…PayPal、Palantir Technologiesの共同創業者であるピーター・ティール氏

世界中が生成AIの熱狂に包まれ、巨大IT企業は天文学的な資金を投じて「次世代の知能」の開発にしのぎを削っている。人々はAIが我々の仕事をどう奪い、生活をどう便利にするのかという技術的な未来予測に血眼になっている。しかし、シリコンバレーの頂点に君臨する「伝説の起業家」ピーター・ティール氏の視座は、我々の想像を遥かに超えた次元にあった。第1回第2回に続く、ピーター・ティール氏の熱血講義第3弾。(取材・構成/小倉健一)
※本稿は、3月6日行われた「ピーター・ティール氏 特別講演」電通ジャパン、電通総研 経済安全保障研究センター主催講演の抜粋に解説を加えたものです。

科学技術の進歩が停滞した
根本原因とは

 もし私の(科学技術の進歩が)停滞しているという説が正しいとして、なぜこれほど劇的に鈍化したのでしょうか。

 私が非常に重要な要因として辿り着いた答えは、ベーコン的な科学(フランシス・ベーコンが提唱した実用的な科学)には、極めて長い間、潜在的な「デュアルユース(軍民両用)」の問題があったということです。

 より強力な科学、より強力なテクノロジーを持てば、同時により強力な兵器、戦争を遂行するためのより多くの手段を手にすることになります。

科学技術への信仰を
原爆が完全に吹き飛ばした

 サミュエル・コルトは1836年に最初のリボルバー(回転式拳銃)を設計しました。彼の広告の数え歌は「神は人間を創り、コルト大佐は彼らを平等にした」というものでした。そのわずか30年後にはリチャード・ガトリングの機関銃が続き、60年後にはアルフレッド・ノーベルのダイナマイトが登場しました。

 自らの発明への罪悪感を和らげるためにノーベル賞を創設したノーベルは、おそらく、この道がどこへ通じているのかを見抜いていた数少ない一人だったのでしょう。

 第一次世界大戦のフランス北部・ソンムの戦いにおける機関銃の弾の嵐は、科学技術への私たちの信仰を傷つけ、そして原子爆弾がその信仰を完全に吹き飛ばしてしまったのです。1945年、日本が誰よりも痛切に知っている通り、科学技術は「終末的(アポカリプティック)」なものとなりました。

 ベーコン的科学の終焉は、私たちにある問いを突きつけました。1946年に原子力情報全国委員会が公開した動画「一つの世界か、なきものか(One World or None)」によって、最も明確に表現された問いです。