映画監督・脚本家の長久允氏の著書、『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』の刊行を記念して、マルチタレントの佐伯ポインティ氏との対談イベントが、青山ブックセンター本店で開催されました。「あの日の『恥ずかしい失敗』も救われる?」「イレギュラーな人生のおもしろがり方」と題して繰り広げられたイベントの模様を、全3回でお届けします。(文/飯室佐世子、撮影/武田浩明)

脚本の教室

前回≫「人生をおもしろがるコツだ!」しんどい経験が自分だけの物語に変わる瞬間【長久允×佐伯ポインティ(2)】

その「恥ずかしさ」こそが大チャンス!

長久允(以下、長久):じゃあちょっと、お悩みが来てるので見てみましょう!

佐伯ポインティ(以下、佐伯):じゃあ僕読みますね。

Q.小学校の頃、祖父母参観に祖母が来てくれたのに、「協力して問題を解きましょう」となったときに、気恥ずかしくて祖母のところに行けなかった。十数年経った今も、昨日のことのように申し訳なく、恥ずかしい。

佐伯:これ、「おばあちゃんに聞いて答えられなかったらおばあちゃんに恥かかせちゃうしな」みたいな、優しさのパターンはないのかな?

おばあちゃんからしたら、孫の謎の行動なんて、なんとも思わなそうだけど。

長久:これはね、「いいエピソード持ってるじゃない~!」って、興奮しちゃいますよ。

ちょっといい、幸せな話よりも、こういう微妙に嫌な思い出を蓄積していくの、本当に大事だと思うんですよね。ラッキーアイテムですよ、脚本にとっては。

佐伯:出た! 妖怪「脚本書かせ」。

長久:「自分の中にノイズが走っていることはスマホに貯めておいて、脚本書いて~~!!」って思う。すべての嫌な思い出が「これで脚本書けるわ、ありがとう」って思えるから。

脚本を書くことは、人生のサバイブスタイルとしておすすめです。

佐伯:インスピレーションにしちゃう。

長久:そのマインド持ってたら、すべてクリアできますから。

脚本の教室

自分の中に熱量をチャージさせていく

佐伯:じゃあ次のお悩みにいきますね。

Q.今日のお話を聞いていると、ものを作ることが名誉やお金じゃなくて生理的欲求に近い、「したいからしている」という状態に見えます。その衝動はコントロールできているんですか?

佐伯:なるほど~~。長久さんは実際、どんなテンションなんですか? 書くときの衝動というか。

長久:基本的には「何か食べたい」っていうのと同じくらいで、ただ書いていたい。休みがあったら、旅行とか興味ないから、とにかく家で書いていたい。

それがベースで、さらに何らかで感情が爆発するときってあるじゃないですか。

佐伯:すごく怒ったとか、すごく悲しいとか。

長久:そうそう。そういう感情になって、書かざるを得ない!!! くらいになるときが、書きどきですね。
『脚本チートチャンス!!!』みたいな感じで。

佐伯:想いというか、熱量がチャージされていくんですね。で、それを脚本にぶつけると。

長久:脚本がなかったらマジでやばい人になってると思う。脚本があってよかった。

佐伯:そうっすね? そう思いますよ。

長久:なんか凍てついてない?

佐伯:僕、感情が平坦なんですよ(笑)。よく言うとカラッとしてるし、悪く言うとドライ。

長久:こっちから見ると、冷えっひえに感じる。

佐伯:だからフィクションとか好きなんですよ。「人間あっったけ~」ってなる。

長久:それ、人造人間が初めて人の優しさに触れたときの反応じゃん!

(おしまい)