世界の成功者は「日常の食事」に価値を見出す
マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏も、富と幸福の関係について同様の境地を語っている。
CNETが2011年10月28日に配信した記事「ビル・ゲイツ:大富豪になっても『同じハンバーガー』」において、ビルゲイツ氏のコメントが紹介されている。
《数百万ドル持っていることの意味については理解できる。それには確かな自由が伴うからだ。だが、それをはるかに超えてしまうと……正直言って、ハンバーガーはどれも同じ味だ》
莫大な資産を手にしたとしても、一口の食事から得られる純粋な喜びは、決して投じた金額に比例して無限に増大するわけではない。数百ドルの高級な食事が、数ドルの食事の100倍の喜びをもたらすことはない。ゲイツ氏が言う「同じハンバーガー」という感覚は、人間が本来持っている幸福の限界を見事に示唆している。
学術的な裏付けとして、所得と感情的な幸福の関係を分析した著名な研究がある。
プリンストン大学のダニエル・カーネマン氏とアンガス・ディートン氏が2010年に発表した論文
『High income improves evaluation of life but not emotional well-being(高所得は生活の評価を高めるが、感情的幸福度は高めない)』は、科学的な視点を提供している。
《対数所得に対してプロットすると、生活評価は着実に上昇する。感情的幸福度も対数所得とともに上昇するが、年収約7万5000ドル(年収約1200万円)を超えるとそれ以上の進展は見られない。低所得は、離婚、病気、孤独といった不幸に伴う感情的な痛みを悪化させる。我々は、高所得は人生の満足感を買うが、幸福感は買わないこと、そして低所得は低い生活評価と低い感情的幸福度の両方に関連していると結論づける》
一定の水準を超えれば、日々の生活を豊かにするのは金銭の多寡ではなく、親密な人間関係や心身の健康、そして日常のささやかな経験の質である。







