ミスをしたくない。そう思うほど、かえって前に進めなくなってしまうことはないだろうか。『人生アップデート大全――停滞した自分を変える66の習慣』(ダイヤモンド社)の著者・池田貴将氏は、「自分は間違っているかもしれない」という姿勢こそが、人を前に進ませると語る。今回は池田氏に「完璧主義な人が陥りがちな思考」について話を伺った。(取材/ダイヤモンド社・林えり、構成・文/照宮遼子)
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成功からの大きな挫折。そして気づいたこととは?
――池田さんご自身の人生を振り返ってみて、人生の分岐点となったことはなんでしょうか?
池田貴将(以下、池田):拙著の『覚悟の磨き方 超訳吉田松陰』がベストセラーになったとき、「自分は売れる本を出せた」という自信にもなったのですが、そのあとの失敗した経験が大きかったかもしれません。
――どのような失敗だったんですか?
池田:『覚悟の磨き方』は吉田松陰の考えをまとめた本なのですが、「これからは誰かの話を書くのではなくて、自分の考えを書きたい」と思って、ある本を書いたんです。「血で書く」ような強い気持ちで、原稿用紙に向き合ったんですが、その本はまったく売れませんでした。そもそも、自分の考えを書こうとしても、あまり言いたいことがなかったんです。
――その後どのように方向転換していったんですか。
池田:書籍に関しては、自分でコントロールしようとするのをやめて、出版社さんの提案をそのまま受け入れることにしました。それでできあがった、行動心理学の実験をまとめた『図解 モチベーション大百科』がまたベストセラーになったので、「自分の考えを本にするよりも、習慣やメソッドをわかりやすく伝えるのが僕の役割なんだ」と腹をくくることができたんです。

完璧主義な人が陥りがちな思考ワースト1:「自分は正しい」
――そこで方向性が固まったわけですね。その経験から、ご自身の考え方も変わりましたか。
池田:以前は、「これが正しい」と思ってやっていると、どこかで必ず行き詰まることがわかったんです。むしろ「自分は間違っているかもしれない」と思っていた方が、次に進めるようになりました。
「完全主義」から「不完全主義」へ
――自分の求める完璧さよりも、前に進むことを重視しているのですね。
池田:そうですね。結局大事なのは、自分の力が発揮できるかどうかなんですよね。本書にも書いていますが、僕の場合は、「完全主義」よりも「不完全主義」のほうが力を出せるとわかりました。
「自分は正しい」と思うか、「何かが足りない」と考えるか
――「自分は間違っているかもしれない」という姿勢が人生を変えると、『人生アップデート大全』に書かれていましたね。
池田:人は、自分が正しいと思っているとなかなか変われません。変わるというのは、それまでの自分が間違っていたと認めることでもあるので、一度うまくいったやり方ほど手放しにくいんですよね。多くの方は、そこで止まってしまうのではないでしょうか。
――では、そこから抜け出すにはどう考えればいいですか。
池田:答えはシンプルで、「何かが足りていなかっただけだ」と捉えることです。「自分は正しいのに結果が出ないのはおかしい」と考えて立ち止まってしまいがちですが、「間違っているかもしれない」と思えた瞬間に、新しいやり方を試せるようになります。
――前提を変えることで、選べる行動が変わるということですね。
池田:ちょっと前提を変えるだけで、これまで思うように動けなかった人も動けるようになります。『人生アップデート大全』では、そうした考え方や行動の切り替えを具体的にまとめています。特別なことをするのではなく、日々の選び方を変えることが、結局前に進む近道なんです。
池田貴将氏 写真:照宮遼子
(本稿は『人生アップデート大全』に関する特別投稿です)
株式会社オープンプラットフォーム代表取締役
リーダーシップおよび行動心理学の研究者。早稲田大学卒。
大学在学中に渡米し、コーチング理論を学んだ経験をもとに起業。セミナーを開催すると、たちまち「ラクにすごい結果が出た」「説明がおもしろくて理解しやすい」と企業リーダーたちの間で評判になり、ファンやリピーターが急増した。
現在はビジネスリーダー向けのスクールを主宰し、「行動を生む心理学」と「人格形成に関する知見」を統合した独自メソッドを伝えている。常に海外の最新の研究や文献を取り入れながら内容をアップデートしており、エグゼクティブやアスリートをはじめとするプロフェッショナル層から高い支持を得ている。
著書に『人生アップデート大全――停滞した自分を変える66の習慣』(ダイヤモンド社)、『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』『図解 モチベーション大百科』(共にサンクチュアリ出版)などがある。











