成果で語る改革:海軍創設とアゾフ攻略
やがて姉が失脚し、母も亡くなると、ピョートル1世はついに実権を握ります。そして親政を開始するやいなや、その改革志向を軍事面で発揮しました。
ピョートル1世が目をつけたのは、黒海方面に勢力を持つ大国オスマン帝国です。苦戦を強いられながらも、自ら創設したロシア初の近代海軍を投入し、要衝であるアゾフの要塞攻略に成功しました。この勝利により、そのリーダーシップと改革への意欲は、ロシアの内外に強く印象づけられました。
ピョートル1世の歩みは、一人の少年が異文化との出会いによって「世界を見る目」を手にし、それを武器に国家の未来を切り開いていくという、まさに「開かれた知性が国を変える」モデルケースと言えます。
外部環境を注視するリーダーが変革を起こす
私は経営コンサルタントとして、これまでに多くのビジネスリーダーと企業や組織のビジョンづくりに携わってきました。その中で、強く感じていることがあります。
それは、「外部環境の変化を注視し、新たな機会を模索し、脅威を的確に捉えているリーダーほど、変革を伴うビジョンを描く」ということです。
ここでの「機会」とは、新しい市場や顧客ニーズ、あるいは新技術の出現などを指します。一方の「脅威」とは、既存市場の縮小や、強力な競合の出現などです。こうした機会や脅威を正しく認識しているからこそ、リーダーは機会を活かしてビジネスを拡大し、あるいは脅威に備えて変革に取り組もうとするのです。
ピョートル1世も同様に、西欧出身者との交流を通じて進んだ文化や軍事、経済を知り、ロシアの後進性という「脅威」を認識しました。その認識こそが、ロシアの近代化という大きな変革へとつながったのです。一方で、外部環境の変化に無関心なリーダーは、新たな機会を見いだすことも、脅威を察知することもできません。その結果、組織は変革のチャンスを失い、やがて衰退の道を歩むことになってしまいます。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。















