神戸大学の大坪庸介教授らの研究グループ(2019年)は、謝罪する側に何らかのコスト(不利益)がかかっている謝り方のほうが、受け取る側の脳の「意図処理ネットワーク」が活性化し、誠意が伝わることを実験で示しています。

 メール一通で済ませる謝罪には、このコストが欠けているといえます。超富裕層の方々は、重大な局面であるほど、相手に電話をかけ、直接足を運びます。

(2)服装にこだわる
普段のスーツはNG

「電話をかけて、直接謝罪のほうが良い」というイメージは持っている人が多いかもしれません。さて、ここからが、普通のビジネスパーソンとの差が大きく開く部分です。

 超富裕層の方々は、謝罪のために相手に会いに行くときの服装を、周到に準備されます。たとえ親密な間柄であっても、です。

 具体的には、濃紺または黒のスーツ、ダークカラーのネクタイ、白いワイシャツ。これが謝罪の場にふさわしい装いだと、彼らは心得ています。

 普段どれほどカジュアルな関係であっても、謝罪の場に派手な色のネクタイやビジネスカジュアルで現れることは絶対にありません。

 なぜそこまでするのか。

 それは、服装そのものがメッセージだからです。

「今日の私は、あなたに対して最大限の礼を尽くしに来ました」という意思を、言葉の前に視覚で伝える。この一手間で、謝罪の重みが全く変わるのです。

(3)手紙を持参する
2つのこだわりとは?

 超富裕層の方々は、謝罪に出向く際、必ず自筆の手紙を携えていきます。万が一、相手に会ってもらえなかった場合の備えです。

 この手紙には、二つのこだわりがあります。

 一つは、必ず自筆で書くこと。代筆はもちろん、パソコンで印刷した文面などは論外です。時間を割き、手を動かし、自分の文字で綴った手紙にしか宿らない重みがあります。

 もう一つは、絶対に郵送しないこと。たとえ会ってもらえなかった場合でも、手紙は自分で持参し、受付や秘書の方に託して帰ります。郵便で送るという行為自体が、「あなたに会うためにここまで来ました」という最も重要なメッセージを打ち消してしまうからです。

 さらに、持参するお詫びの品についても、手土産として選ばれるのは相手の好物や関心を徹底的にリサーチした上での一品です。「とりあえず有名な菓子折り」では決してありません。