(4)「同等の埋め合わせ」で済ませない
「3倍返し」が基本
超富裕層の方々の埋め合わせは、「3倍返し」が基本です。
これは金銭の話に限りません。相手に与えた損失や迷惑の大きさに対して、埋め合わせは常に「明らかにそれを上回るもの」を提示されます。取引の遅延で100万円の損失を出させたなら、その損失補填だけでは足りない。相手が納得するだけの追加価値を添えて初めて、「本気の謝罪」になるのです。
名古屋大学の川合伸幸教授は著書『科学の知恵 怒りを鎮める うまく謝る』(講談社現代新書)の中で、優れた謝罪の核となる3要素の一つとして「補償の申し出」を挙げています。
超富裕層の方々は、この「補償」を同等ではなく大幅に上回る形で提示することで、相手の心を確実に動かすのです。
(5)秘書や部下に手配させない
「自ら動く」ことが誠意
また、こうした謝罪に関する全ての段取り――アポイントの連絡、訪問先の調整、手土産の手配――を、超富裕層の方々は全てご自身でなさいます。
普段は秘書の方が電話やスケジュールを管理している方でも、謝罪だけは別です。相手の会社に直接電話を入れ、自分の声で頭を下げてアポを取る。この「自ら動く」という行為そのものが、コストであり誠意です。
秘書経由で「社長がお詫びに伺いたいと申しております」と伝わる謝罪と、本人が直接電話してくる謝罪とでは、受け取る側の印象が全く違うのです。
(6)一度の謝罪で完結させない
相手への配慮を示し続ける
最後にもう一つ。超富裕層の方々は、謝罪を一度で終わらせません。
直接お詫びに伺い、埋め合わせを提示した後も、数日後に改めて御礼とお詫びの連絡を入れる。再発防止策の進捗を報告する。数週間後にも改めて感謝を伝える。このように、謝罪の後も継続的に相手への配慮を示し続けます。
超富裕層の方々がここまで徹底するのは、「信頼」というものの値段を誰より知っているからだと、私は感じています。
一度失った信頼を取り戻すコストは、元の信頼を築いたコストの何倍にもなります。それを理解している人ほど、謝罪の場面で手を抜きません。
メール一通で済ませるか。自筆の手紙を携えて出向くか。同等の埋め合わせか、3倍返しか。どちらを選ぶかで、10年後、20年後のあなたの信頼資産は全く違うものになっている――超富裕層の方々は、それをよくご存じなのです。







