20代の頃は、目の前の仕事や遊びに必死で「将来の自分」のことまで真剣に考える人は少ない。だが年齢を重ねるほど、「もっと早く知っておけばよかった」と感じる「人生の残酷なルール」がある。医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオン氏が書き、世界20か国以上で続々刊行されている『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』からヒントを紹介しよう。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)

20代が知らない「人生の残酷な現実」ワースト1Photo: Adobe Stock

身体は歳をとると必ず衰える

 20代のうちは、徹夜をしても、多少暴飲暴食をしても、一晩寝れば元通りになる。若さとホルモンの恩恵により、「健康」や「体力」は永遠に続くものだと錯覚しがちだ。

 しかし医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオン著『筋肉が全て』によれば、私たちが避けて通れない老化現象、すなわち筋肉の崩壊は、実は30代からすでに始まっているという。

 私が本書を読んで、20代のときに知りたかったと思ったのは、「若いころの『筋肉への投資』を怠ったツケは、加齢とともに重くのしかかってくる」という残酷な人生のルールだ。

 本書では、若いうちから筋肉を鍛えることの重要性について、次のように語られている。

 お金を投資するのと同じで、筋肉への投資も早く始めるほど複利のメリットを得られる
 若いときから筋力トレーニングと栄養価の高い食事を心がけていれば、心も体も整えられ、成人してから自信と力強さを発揮できる。もちろん心臓血管の健康にもよい。――『筋肉が全て』より

 筋肉には「細胞の記憶」があり、早くから筋トレを始めることで、将来再びトレーニングをしたときに筋肉が速く成長するベースがつくられる。

 逆に、若いころに運動不足や低タンパク質の食事を続けていると、将来にわたって脂肪の増加と筋肉の減少に悩まされ、メタボリック・シンドロームやあらゆる病気のリスクを抱え込むことになるのだ。

残りの人生で今日がいちばん若い日である

 さらに、20代での筋肉への投資がもたらすのは、身体的な強さや病気の予防だけではない。著者は以下のように語る。

 思春期から20代にかけてたくさん運動し、活動的なライフスタイルを身につけることの利点は、身体面にとどまらない。
 認知能力、社交性、ストレス軽減、全体的な精神的幸福感にもプラスの影響があるという研究結果が増えている。――同書より

 筋肉を動かすことで、学習能力や記憶力を促進し、メンタルをポジティブに保つ物質が脳に届けられる。

 社会に出て最もプレッシャーのかかる20代に、折れない心と明晰な頭脳を維持できるかどうかは、筋肉の量と質にかかっているのである。

 もっとも、「もう若くない」と後悔した人も、絶望する必要はない。筋肉は、何歳からでも鍛えて変えることができる。著者は言う。

 研究によると、65歳以上の人でも、週に2~4日の適切に設計された筋力トレーニングによって、最大筋力、筋量、筋瞬発力、および機能的能力が向上することがわかっている。――同書より

 未来の自分のために、今日から筋肉という最強の資産への投資を始めよう。

(本記事は、ガブリエル・ライオン著『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』に関連した書き下ろし記事です)

ガブリエル・ライオン(Dr. Gabrielle Lyon)
医師(DO)
イリノイ大学で栄養科学の学部課程を修了後、セントルイス・ワシントン大学において老年医学・栄養科学の臨床・研究フェローシップを修了。健康、パフォーマンス、老化、疾病予防におけるタンパク質の種類および摂取量の実践的応用に関する分野の専門家、教育者として活躍している。筋肉についての最新研究を網羅した本書は全米で大きな話題を呼び、ニューヨーク・タイムズベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、世界各国での刊行が続いている。