面白いことが
思いがけずやってくる
私自身、偶然を取り入れることで感じられた変化がありました。
以前は多くの本を読むために、「速読法」や「読書術」などのハウツー書を読破し、満足していましたが、人間の本質を語った古典や文芸書をほとんど読んでいないことに気づき、時間を惜しんでの多読や速読はやめました。研究においても綿密な計画を立てていましたが、あるときからそれもやめました。
そうすると、面白い仕事や新しい発想が、思いがけずやってくるようになったのです。
小学生のときのことです。私はピアニストを目指すほどクラシック音楽が好きだったのですが、あるときふらっとレコード店に入ったら、耳慣れない音楽に心をつかまれました。「この音楽は何だ?」と驚いて店員に尋ねると、ジャズとのこと。そこでレコードを買ったのが、ジャズとの出会いになりました。
大人になってからも、九州の大地で火山の研究をしていましたが、あるとき京都の研究者がふらっと訪ねてきてくれた。そこから共同研究が始まり、その成果が学会で賞をもらったことがあります。オープンマインドでいると、「普段の自分のフィールドと違うものでも、いいものはいい」と素直に受け入れられ、偶然を招き入れ、人生が豊かになっていきます。
これが自分だけで計画すると、そうはいかない。なぜなら、人は成功体験から抜けられないからです。たとえば、執筆する本のテーマについていうと、自分でテーマを考えると、「このテーマで本を書いたら売れた」とか「この話をすると講演会に人が集まる」とか2匹目のドジョウを狙ってしまう。
でもそれでは、縮小再生産を繰り返すだけです。資本主義に基づいた行動様式ではあるのですが、それでは素敵な偶然が入ってきません。そこで「成功体験をいったん捨てる」ことが必要になってくるのです。
成功体験は「捨てる」のではなく
「押し出す」のが正解
「あのやり方で成功した」という体験は本人にとっては輝かしい記憶です。よって、それを捨てるのはかなり難しいように思えます。







