街頭で演説をするスーツ姿の男性写真はイメージです Photo:PIXTA

2024年の衆議院選挙は、自民党が少数与党に転落する大きな転換点となった。単なる政権不信や不祥事の影響だけではなく、右派市民の投票行動に変化が生じ、従来の支持構造が揺らぎつつあったという。※本稿は、中京大学現代社会学部教授の松谷 満『「右派市民」と日本政治 愛国・排外・反リベラルの論理』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

なぜ2024年の総選挙では
自民党離れが起きたのか

 さて、読者のみなさんは、近年の選挙はどうだったのかという点が気になるのではないでしょうか。残念ながら2025年の参院選のデータは手元になく、2024年の衆院選についてのみ補足的に検討したいと思います。

 この選挙の注目点は次のように整理できます。まず、政権政党である自民党は裏金問題でたいへん深刻なダメージを受け、岸田文雄首相から石破首相へと交代しました。しかし、その効果も薄く、この選挙で自民党は惨敗し、少数与党になってしまいました。

 代わりに注目を集めたのは国民民主党です。「手取りを増やす」というシンプルかつ「庶民受け」するスローガンが効いたのでしょうか、比例区で大きく躍進しました。また、右派層の受け皿として日本保守党が新たに参入しました。日本保守党は「日本のこころ」と同様、自民党以上に右派的な志向性を純化した政党と位置づけることができます。

 ほかにも、参政党やれいわ新選組といった左右の小政党が議席を伸ばしました。この選挙は、長く圧倒的な議席を占めていた与党が敗れ、民主党政権時以来の少数与党になったという大きな転換があった選挙です。