考えられる理由は、ポスト安倍自民が変質した(右派市民の期待に応えられなくなった)ととらえられたこと、明確に自民党を批判する立場を取ったこと、インターネットを介した選挙戦略に長じていたこと、などでしょう。

排外主義者は欧州における
極右政党支持者と同傾向

 ここで、左派との違い、タイプ間の違いについて整理しておきましょう。

 右派市民は投票以外の直接的な政治参加行動にはあまり積極的ではありません。とくに、高年層の左派市民の活発さとは対照的です。ただ、彼らが行動のポテンシャルを持っていない、というのは少し違います。左派市民が政治に強い不満を持ち、自ら行動を起こそうと考えがちなのに対し、右派市民はそれほどの強い不満を持っていません。したがって、政治行動には消極的なのだと考えられます。

 しかし、ネット上の情報発信については異なる状況を確認できます。中年層では右派と左派はほぼ対等、若年層ではむしろ右派のほうが積極的に情報発信を行っていました。年代によってなぜ異なる傾向がみられるのかは今後詳しく検討したいと思いますが、若年の右派市民には大卒男性が多いこと、左派市民には女性が多く、家族や性の問題に関心が強い非-伝統主義者が多いといった特徴が影響しているのかもしれません。つまり、政治好き、議論好きの大卒男性がネット上の議論空間で幅を利かせているという可能性が考えられます。

 右派市民の安倍支持・自民支持については、意外な傾向を確認することができました。左派市民はたしかに右派が揶揄するように安倍嫌いが徹底していましたが、右派市民は安倍を妄信しているわけではありませんでした。むしろ安倍を評価しない右派市民も少なくなかったのです。

 それでも、安定した保守長期政権としての安倍自民は、右派市民の投票先として圧倒的でした。しかし、不安定となった石破自民は、ほかの右派政党に多くの票を奪われる結果となりました。すでに多く指摘されているように、いくつかの中小規模の政党へと票が分散したことが確認できます。

 タイプ別でみた場合、もっとも注目されるのは排外主義者の特殊性です。排外主義者はほかの右派市民と異なり、政治に強い不満を持っています。しかし、自分たちには政治を動かすほどの力はないと考え、その受け皿についても定めることができていませんでした。彼らは安倍の対外政策にも不満を持っていたことがうかがえます。

 その点、2024年の衆院選、2025年の参院選では自民を見放し、各々が期待できる政党へと散っていったとみることができます。つまり、排外主義者と政権与党はもともと相性がいいわけではなく、より極端な主張を繰り出す政党のほうが親しみやすいというヨーロッパの極右政党支持者と同様の傾向が、ここにきて目にみえる形で現出したといえるのではないでしょうか。