◆ロシアを大国に変えた…ピョートル1世が証明した現場主義
【悩んだら歴史に相談せよ】『リーダーは日本史に学べ』の著者が、舞台を世界へ広げた『リーダーは世界史に学べ』。東京大学・羽田 正名誉教授の監修のもと、世界史に名を刻む35人の言葉から、現代のビジネスに必要な「決断力」「洞察力」「育成力」「人間力」「健康力」と5つの力を磨く術を解説する。
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なぜ「船大工」として泥にまみれたのか?
新規事業を成功に導くリーダーの絶対条件
ロシアを大国へ導いた「皇帝の汗」
ロシアを近代国家へと飛躍させたピョートル1世。その最大の転換点は、彼が自ら西ヨーロッパへ渡り、一介の「船大工」として現場で修行したことにありました。
当時のピョートル1世には、「イギリスやオランダのような海洋国家から学び、海軍力を強化して国力を拡大する」という明確な目的がありました。現場で泥臭く学んだ知見は、後のロシア海軍創設という大きな成果につながります。結果として、宿敵スウェーデンとの戦争に勝利し、ロシアを世界的な大国へと押し上げたのです。
この「海軍創設」という国家プロジェクトは、現代で言えばまさに「新規事業の立ち上げ」そのものです。未知の領域に自ら飛び込み、汗をかいて得た経験を戦略に落とし込む――。この姿勢は、時代を超えて現代の経営者にも重要な示唆を与えてくれます。
既存事業の「成功体験」という壁
多くの経営者は、既存事業において輝かしい実績を築いてこられました。自社の主力事業については誰よりも精通し、現場の呼吸も深く理解されているはずです。
しかし、新規事業において、これまでの成功体験は必ずしも通用しません。新しい分野に挑むとき、経営者もまた一人の「素人」に戻ります。業界の構造、顧客の性質、現場のオペレーションなど、未知のことばかりなのが当たり前です。
ここで「詳細は現場に任せればよい」と丸投げしてしまうと、トップと現場の間に深刻な温度差が生じます。「自ら学ぼうとしないリーダーは、正しい方向を示すことができない」。これは、新規事業が失敗に終わる大きな要因の一つです。そこで、現場を深く知ることで成功を掴んだ、現代の事例を2つご紹介します。



