仲間由紀恵の抜群にうまい芝居に感動…高貴な役が似合うだけじゃない!女優の意外な演技〈風、薫る第39回〉

意外とものわかりのいい寛太

 千佳子は病室から外に出られてストレスがなくなったのか、鼻歌(庭の千草)を歌いだす。それをこっそり見ているバーンズ先生(エマ・ハワード)。

 そこで直美(上坂樹里)のターンへ。

 直美を「夕凪」という遊女と間違えた人(陰山泰)を追いかけて、入り口の前で張っていると、何者かに肩をつかまれる。寛太(藤原季節)だった。今日はメガネキャラだ。

 直美は甘味処で団子を食べながら、経緯を寛太に話す。

「あんたに名前も付けずに捨てた母親かもしれねえってことか」と一部始終を直美から聞いた寛太だったが、「あの辺りは近づかねえほうがいい」と忠告。

 陰山泰が演じている人物が出入りしているのは、バクチ場だった。「欲の皮が突っ張ったやつから金巻き上げてる。女、だますよりマシだろ」と言いながら寛太はメガネを外す。ここでたぶん、変装した人物から素の彼に戻ったのだろう。

 直美の母探しを手伝うことにした寛太。

「捨てた親でも、どっかで生きてるかもしねぇいっちゅうのはいいのかもな」とこの人もまた、案外素直。「俺は親兄弟みんな死んじまったから」と言うのと同時に、優しいピアノ曲の劇伴が流れる。

「自分だけだとどうも踏ん張りが効かねえ。悪いことをしても歯止めが利かねえ。親や兄弟のためならきっと…」と案外、ベタなヒューマニズムの人であった。

「そんなの詐欺の言い訳。私は自分で自分を幸せにするために努力してるの」と直美のほうが屈折度が大きい。

「努力」という言葉を寛太は嫌いなようで「開化だなんだって。今は努力次第で立身出世と言うけどよ。じゃあ、なんともなってねえのは、てめえの努力不足ってことか?努力しても、どうにもなんねぇことなんて、いくらでもあるだろう」

 この台詞は、明らかに、令和のいまの状況を寛太に語らせている。この時代もそうだった。いつの時代も、自己責任、当人の努力不足で片付けられる問題ではないことがたくさんある。

 寛太は「努力して、だいぶ金のにおいを嗅ぎ分けられるようになったけどよ」と笑う。そういう方向性への努力になってしまうのがもったいない。

 直美を夕凪と呼んだ人物を演じている陰山泰も、『ひよっこ』や『ブギウギ』で視聴者に愛された名優。名もない役だなんてもったいなさすぎる!