「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。
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「親子の交換日記」がおすすめ
子どもの作文力を高める方法として、「日記を書く」という習慣が有効なことはよく知られています。
しかし実際には、「続かない」という壁にぶつかるケースが少なくありません。理由はシンプルです。
日記は基本的に「一人で書くもの」だからです。誰にも読まれない前提の中では、書く意味や楽しさを見出しにくく、習慣化しづらいのです。
そこでおすすめしたいのが「親子の交換日記」です。
交換日記の場合、そもそも伝える相手が明確に存在します。これによって、子どもの書く意欲が高まります。
交換日記の価値は、「楽しいから続く」という点にあります。自分の言葉が届く、返事が来る、やり取りが生まれる――この一連の体験が、子どものモチベーションになります。
また、やり取りを通じて親は子どもの気持ちを深く知ることができ、子どもも親の考えや感じ方に触れることができます。つまり、親子の交換日記は、言語化の練習という狙いだけでなく、親子の意思疎通、そして、相手の気持ちを想像する力を育てるトレーニングにもなっているのです。
単なる「出来事の報告」から、「体験・感情・気づき」へ
たとえば、こんなやり取りを想像してみてください。
小学3年生のミナミちゃんは、最初、こう書きました。
「今日は、体育でリレーでした。私が走ったら、チームが勝ったよ」。
お母さんはこう返しました。
「リレーで勝ったんだね! おめでとう! どんな気持ちだった? チームのみんなもよろこんでたかな?」。
翌日、ミナミちゃんの文章は少し具体的になりました。
「ゴールしたとき、ユウちゃんが『ありがとう』って言ってくれて、涙が出そうになった。がんばって良かったって思ったよ」。
最初は出来事の報告にとどまっていましたが、親の問いかけることによって、ミナミちゃんの言語化が、体験・感情・気づきの三層へと広がりました。
わずか一往復のやり取りでも、言語化力の成長が見られます。
親子の交換日記では、「親に伝える」という前提があるため、自然と「どう書けば伝わるか」を考えるようになります。
誰に向けて書くかを意識できる子どもは、言葉の選び方や文の組み立てに工夫が生まれます。
日記が「自己完結のアウトプット」だとすれば、交換日記は「他者に届けるアウトプット」です。言語化では、自分の気持ちや考えを言葉にするだけでなく、相手に伝わる形に整えることも求められます。その点、交換日記は極めて実践的なトレーニングなのです。
まずは週に2~3回、やり取りは一行でもかまいません。ルールを設けず、気軽に始めてみましょう。親子のやり取りが積み重なるにつれ、子どもの言葉は少しずつ磨かれ豊かになっていきます。何より親子で気持ちを伝え合うことで得られる喜びや安心感は何ものにも代えがたいものです。
*本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。






