「言語化」という言葉を耳にすることが増えた。「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」のどれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、話題の書籍「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の著者・山口拓朗氏が、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。
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「飲み会」って意味あんの??
「飲み会は苦手」「つきあいだからしょうがないけど、本当は意味がない」。
そう感じている方も多いかもしれません。無理に参加を勧めるつもりはありませんが、言語化という観点から見ると、飲み会には特筆すべき価値があります。
日常生活や仕事の中で、自分の考えをじっくりと言葉にする機会は、意外と少ないものです。
会議では議題に沿った発言が求められ、1on1や面談では質問が予定調和に陥りがち。表層的なやり取りで終わることも少なくありません。
しかし、飲み会という場には、そのどちらとも異なる独特の空気があります。
いい意味で「心のブレーキが外れる場所」、それが飲み会です。
飲み会の場では、「なぜそれが好きなの?」「どうしてそう思ったの?」「これからどうしようと思ってるの?」など、普段の会話では出てこないような問いが、自然と飛び交います。
お酒が進めば、質問が思わぬ方向に広がっていくこともあります。鋭いものから、深いもの、ユニークなもの、突拍子もないものまで、さまざまな角度から質問が飛んできます。
その結果、自分自身についての言語化が促されていきます。
さまざまな強さや角度のボール(質問)を打ち返しているうちに、ふだんはアクセスしない自分の本心や本音に気づくようなこともあります。
「大事にしている価値観」「好き嫌い」「強みや弱み」「抱いている夢や理想」「こだわり」「不安や不満」。
台本のないやり取りを通じて、自分についての言語化が進み、自己理解が深まっていきます。もちろん、双方向でやり取りするため、「相手に質問する」という言語化力も磨かれていきます。
もちろん、飲み会でなければこの効果が得られない、というわけではありません。
気の置けない仲間とのカジュアルな食事でも、少し踏み込んだ雑談でも、本質は同じです。
大切なのは「多種多様な質問が飛び交う環境」に飛び込むことです。「質問→回答」をくり返すうちに、言語化力が高まり、相手との心の壁も崩れやすくなります。
飲み会は、「言葉にできない」を「できる」に変える、得難い「言語化道場」にもなるのです。
*本記事は、「『うまく言葉にできない』がなくなる 言語化大全」の著者・山口拓朗氏による書き下ろしです。








