小売りイメージ小売り業界はどんな人材を求めているのか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA 
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2026」の「キーワードで読み解く!注目21業界『最新トレンド』」の拡大版です。

就職活動で大切な業界研究は難しいことではない。自分の将来を考える「地図づくり」のようなものだ。業界環境を知り、社会の仕組みを理解することが、納得のいく就職への第一歩になる。第12回は小売り業界を取り上げる。(Diamond WEEKLY編集室)

選別的な消費と
賃上げのインパクト

 物価高が続く中でも、小売り業界は決して一様ではない。日々の買い物では節約を意識する消費者が増える一方で、百貨店では高額品が引き続き売れている。生活必需品はできるだけ安く済ませたいが、自分が本当に欲しいものや価値を感じるものにはお金を惜しまない。そんな「選別的な消費」が定着しつつある。

 こうした消費行動の変化は、小売り企業の経営戦略だけでなく、そこで働く人材に求められる能力にも大きな影響を与えている。業界の最前線では今、どのような変化が起きているのだろうか。

 現在の小売り業界を象徴するキーワードを一つ挙げるなら、「二極化」だろう。

 百貨店では、訪日客(インバウンド)需要だけでなく国内客による高額商品の販売も堅調に推移している。ブランド品や高品質な商品など、価値を感じられるものにはしっかりお金を使う消費者は少なくない。一方で、日常生活に関わる支出については節約志向が依然として根強い。食品や日用品では価格への目線が厳しく、少しでも安い商品を探す動きが続いている。

 背景にあるのは、長引く物価上昇だ。賃上げの動きが広がっているとはいえ、消費者の多くは生活防衛意識を持ちながら支出をコントロールしている。その結果、「使うところには使う、抑えるところは抑える」という選択的な消費行動が定着している。
 
 今後、小売り企業には単なるコスト削減ではなく、高付加価値商品や独自性の高いサービスによって利益を確保する経営が求められる。人件費上昇を前提に、いかに付加価値を生み出すかが競争力を左右する時代になっている。

 こうした環境の中で、業績を伸ばしている企業には共通点がある。