スタートアップのバイブルとして名高い『起業のファイナンス』シリーズの最新刊として、『起業のコーポレート業務』が発売されました。オフィスの探し方や社会保険への加入、PR、反社対応、M&A・IPO準備など、総務・経理・労務・法務とEXITに関する全てをカバーする「スタートアップの実務大全」とも言える1冊で、スタートアップ以外の企業のコーポレート部門の人にも大いに役立つ内容となっています。
この連載では、主に同書の「コラム」を公開していきます。第14回は「ストックオプション以外の株式報酬制度」についてです。

ストックオプション?Photo: Adobe Stock

スタートアップでストックオプション以外に選ばれるのは、「従業員持株会」と「譲渡制限付株式」

 スタートアップで一般的なストックオプションは「株式報酬制度」の一種です。

 他にも、主に上場後の資本政策・インセンティブプランとして設計を検討するものとしては、

【従業員持株会】
・役員や従業員などが自社株を積立で購入できる制度
・持株会に加入した会員の給与や賞与から天引きし、会員全員から集めたお金で自社株を共同購入
・自社株の単元株(売却できる最低株数)が高額な場合、最初のうちは端株であるため売却できないが、単元株に達すると、個人口座に引き出して好きなタイミングで売却できる

【譲渡制限付株式(RS:Restricted Stock)】
・役員や従業員などが自社株を積立で購入できる制度
・給与の一部として株式を無償で支給するがすぐに譲渡(売却)できず、保有期間や勤続年数などの条件を満たさなければ売却できない(ただし、譲渡制限期間中であっても、配当を得たり、株主総会の議決権を持ったりすることは可能)
・権利行使をしなくても株式が手に入るという点がストックオプションと異なる

 が代表的なものとして挙げられます。

 ちなみに、フェムトパートナーズでは、未上場企業(大企業の子会社)に対してもRestricted Stockを用いたMBO(Management Buy Out)案件を複数手掛けており、書籍『増補改訂版 起業のエクイティ・ファイナンス』第6章「スピンオフ、MBOを成功させる」にストラクチャーを解説しています。

 事例としては、スカイマティクスが三菱商事・日立製作所から、DROBEが三越伊勢丹HD・ボストンコンサルティンググループから、ゴウリカマーケティングがコニカミノルタからMBOを実行し、スタートアップして成長しています。

 また、株式報酬制度については、経済産業省から公表されている「インセンティブ報酬ガイダンス」に網羅的に説明されているので、一読を推奨します。特にストックオプションについては手続き面に加え、設計における留意点やモデルケース・失敗事例なども掲載されており実用的です(フェムトパートナーズ ファウンダーの磯崎哲也も本ガイダンス策定の委員です)。