「今日こそ、スマホを見ずに勉強しよう」「休日はSNSや動画に時間を使わないようにしよう」。そう決意したはずなのに、気づけばいつも通りスマホを眺めていた――そんな経験はないでしょうか。500万ダウンロードを突破したアプリ「集中」の開発者で、『脱スマホ術』の著者・戸田大介さんは、「スマホを見ないと決意するだけでは、生活はなかなか変わりません」と言います。では、スマホ依存から抜け出すためには、何を決めればいいのでしょうか。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【こんなの気づけるわけない…】スマホ依存を抜け出せない人が、見落としている落とし穴Photo: Adobe Stock

スマホ時間を減らす目的は、「有意義な活動」に時間を使うこと

――スマホを見る時間を減らそうと何度も試しているのですが、気づくと元の生活に戻っています。なぜ、なかなか続かないのでしょうか。

戸田大介(以下、戸田):そもそも、多くの人が本当に望んでいるのは、単にスマホ時間を減らすことではありません。

 スマホで溶かしてしまう時間を、語学や資格の勉強、読書、副業、運動など、自分が本当にやりたいことに使いたいと思っているはずです。

 ですが、仕事帰りや休日に「勉強しよう」「本を読もう」と思っていても、なかなか手を付けられず、手軽に楽しめるスマホを開いてしまいます。

 そのため、スマホ時間を「減らす」だけでなく、自分がやりたいことの時間を「増やす」ことが重要です。なにかに集中している時間は、自然とスマホを見なくなりますし、なにより、とても清々しい気持ちになれます。

「10分だけやる」と思って、タイマーを押す

――では、具体的には何をすればいいのでしょうか。

戸田:たとえば、語学の勉強をしたいなら、「今日は10分だけやろう」と決めて、本当に10分のタイマーをセットしてください。

 このとき、重要なポイントが2つあります。

 1つ目は、作業の準備を始める前に、10分のタイマーをスタートしてしまうことです。

 机に座ってテキストを開いてからではありません。教材を取り出したり、机に向かうまでの準備時間も10分に含めます。

 2つ目は、「10分たったら、本当にやめてもいい」と考えることです。

「10分だけと言いながら、実際には1時間やらなければいけない」と考えていると、「面倒だな」という気持ちを拭えません。

 本当に10分でやめてもいいと思うからこそ、「それなら、やってみよう」と動きやすくなるのです。

10分だけで終わることなんて、ほとんどない

――ただ、10分では短すぎて、ほとんど何も進まない気もします。

戸田:そう思いますよね。しかし、この方法の目的は、10分間でたくさん勉強することではありません。最も高いハードルである「重い腰を上げて、勉強に取り掛かる」ことが目的です。

 人は作業を始める前に、その作業に必要な時間や労力を無意識にイメージしています。

 参考書を何十ページも進めなければならないと考えたり、人によっては試験に合格するまでの長い道のりまで思い浮かべているかもしれません。頭の中で想像する作業量が大きいほど、「面倒だな」という気持ちが強くなってしまいます。

 そこで、「本当に10分だけ」と時間を区切ります。すると、頭の中で膨らんでいた作業量が小さくなり、最初の一歩を踏み出しやすくなります。

 また、タイマーに表示された残り時間が減っていくと、「この時間で少しでも進めよう」という気持ちも生まれます。このように、タイマーには行動を促す力があるのです。

――勉強を開始してみたら、そのまま続けられることもありそうですね。

戸田:もちろんあります。始めるまでは面倒だったのに、いったん机に向かうと、10分経ってもそのまま続けたくなることは珍しくありません。

 ただし、無理して1日にたくさん進める必要はありません。勉強でも仕事でも、疲れてクタクタになるまで頑張ると、翌日に机へ向かうのがしんどくなります。それが自分のやりたいことであっても、量が多すぎると、人は嫌になってしまうものです。

 勉強はほとんどが長期戦になるので、その1日だけ頑張ることではなく、毎日コンスタントに机に向かわないと結果につながりません。そこで重要なのが、「勉強が苦しい」というイメージを持たず、すっと毎日軽やかに机に向かえることです。「もう少しやりたい」と思うくらいで切り上げると、「勉強が苦しい」というイメージが染み付かず、翌日も机に向かいやすくなります。

有意義な時間が増えれば、スマホ時間は自然に減っていく

――スマホを我慢するより、本当にやりたいと思っていることを続ける仕組みが大切なのですね。

戸田:はい。「スマホ時間を減らさなければ」と考え続けていると、ずっと誘惑に耐えなければならず、つらくなると思います。

 ですが、勉強や読書、副業などに取り組む時間が少しずつ増えれば、その間は自然とスマホを見なくなります。有意義な時間が増えた結果として、スマホ時間が減っていくのです。

「スマホを見ない」という禁止事項をつくるのではなく、「10分だけやる」と決めて、タイマーをセットしてみてください。毎日の時間の使い方が少しずつ変わり、気づけば、自分が本当に目指したい方向へ進めるようになっているはずです。