「“言語化”疲れで、“言語化”という言葉にモヤモヤする」
「即答するよりじっくり考えるほうが大事なのでは?」
「別に“口下手”のままでもいいじゃないか!」…
など、まったく新しいコミュ力を説いた書籍『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』が発売された。著者でイラストレーターのヤギワタル氏は、これまで200冊以上の書籍でイラストや装画を担当してきて、今回が初の単著となる。本書では、昨今の「言語化ブーム」に対して警鐘を鳴らし、「言語化“以外”に目を向けること」をイラストレーターならではの視点で面白く解説している。本記事では、その中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

呆れるほど「仕事できない人」
「仕事ができる人になりたい」
そう思って、ビジネス書を読む人は多いでしょう。
ですが、不思議なことがあります。
たくさん本を読んでいるのに、まったく成長しない人がいる。
一方で、少ない経験から大きく変わる人もいる。
『言語化だけじゃ伝わんない』という本では、その違いについて、「言葉だけで理解しているか、経験を通して理解しているか」だと語られています。
「仕事ができる人」は、何が違うのか?
本書では、まずこんな体験が語られています。
あるとき、その過程で知り合った人から、撮影仕事の依頼がありました。
運営するワークショップの様子を撮影してほしい、という依頼内容でした。
こんな機会はめったにないと思い、勢いで仕事を引き受けました。
でも、すぐに「もしちゃんと撮れなかったらどうしよう?」と不安になります。
「写真に対する、すべての責任が自分にある……」というプレッシャーを、感じはじめました。
緊張で汗だくになりながらも、なんとか写真を撮っていたとき。
ふと、大発見をします。
それは、「仕事は準備が大事だ!」ということ。
「仕事ができる人とは、準備ができる人のことだ」と、突然、閃いたのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
本で「準備が大事」と読むことはできる。
ですが、本当に腹落ちするのは、「失敗できない状況」を経験したときなのです。
つまり、人はプレッシャーを通して、初めて言葉を実感として理解する。
本を読んだだけでは、人は変わらない
本書では、さらにこう続きます。
でも、2回目は、1回目の経験を踏まえて、準備を変えたのです。
「どう撮るか?」をあらかじめ考えて行きました。
そして、3回目は2回目の経験を踏まえて、さらにプロの写真家の助言を仰ぎました。すると、より撮影に適したレンズを貸してもらえたのです。
それまでの私は、準備をしてから仕事をしたことがほぼありませんでした。
転職の面接もいつもぶっつけ本番。
いま振り返ってみると、それだから転職もうまくいかなかったのだろうなと思います。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
仕事ができない人ほど、「知識を集めること」で満足します。
ですが、本当に仕事ができる人は違う。
経験したあとに、修正する。準備を変える。改善する。
つまり、「現実とのズレ」をもとに考え直しているのです。
だから、理解が深くなる。
「経験してわかる」と
「言葉だけでわかる」は別物
本書では、最後にこう語られています。
20代の頃の私が、なぜ「仕事ができる人」になれなかったのかは、私が「言葉だけでわかった気になっていたから」でした。
言葉をふわっと理解していたからです。
逆に、なぜ写真の仕事をしていたときの発見は、今も私を助けてくれているのか。
理由は単純。
私が『経験をした』からです。
そして、経験を通じて言葉を理解したから。
その言葉の理解は、地に足のついたものになります。
言葉の理解には、2つがあります。
『経験してわかること』と『言葉だけでわかること』です。
言葉の上では同じ『わかる』ですが、この2つの間には大きな溝があります。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
「準備が大事」
「顧客視点が大事」
「まず行動しろ」
こういう言葉は、誰でも知っている。
ですが、知っているだけでは何も変わらない。
本当に変わるのは、失敗したとき。焦ったとき。責任を感じたとき。悔しい思いをしたとき。
つまり、「身体で理解したとき」なのです。
本当に仕事ができる人は
「経験で言葉を理解している」
『言語化だけじゃ伝わんない』は、「知識」と「理解」は違うと教えてくれます。
仕事ができない人ほど、本を読んで「なるほど」と言う。
ですが、そのまま何もやらない。
一方、仕事ができる人は、言葉を現実で試す。
そして、失敗する。ズレる。修正する。
だから、言葉が自分の経験になる。
つまり、本当に仕事ができる人になるには、「知識を増やすこと」が重要なのではありません。
経験によって、言葉を地面に着地させること。
それが、本当の意味で「理解する」ということなのです。
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。








