AIエージェントが質の悪いコードを量産、「バイブ・スロップ」とはIllustration: Joe Magee for WSJ

 絶大な人気を誇るAIエージェント「オープンクロー」の主要部分を構築したエンジニア2人が厳しい警告を発している。高収入のソフトウエア開発者に取って代わるとされるこの人工知能(AI)が、質の悪い、場合によっては危険なコードを大量に世に送り出しているという。

 2人はこの現象を「バイブ・スロップ」と呼ぶ。平易な言葉でAIツールに指示してソフトウエアを作る「バイブ・コーディング」と、ソーシャルメディアにあふれる低品質のAI生成コンテンツ「AIスロップ」を組み合わせた造語だ。

 バイブ・スロップが起きるのは、コーダー(プログラマー)がシステムの設計・試験という骨の折れる作業を手っ取り早くAIに任せた時だという。そうして出来上がったソフトウエアは長くはもたない。問題は深刻で、オープンソースコードが保存されている世界有数のリポジトリ「ギットハブ」は、新たな指針や機能を導入してこれに対処しようとしている。

「インフラが崩壊しつつあり、ソフトウエアは以前に比べて非常にバグだらけになっている」。オープンクローのエージェントハーネス(AIエージェントを動かす仕組み)「Pi(パイ)」を開発したマリオ・ツェヒナー氏はこう話す。「これをあと数カ月か数年は続けられるかもしれないが、いずれツケが回ってくる」

「Pi」の共同開発者であるツェヒナー氏とアーミン・ロナッハー氏は、AIが全く役に立たないと言っているわけではなく、自身もプロジェクトの単調な作業にAIを使っている。AIを信頼しているからこそ、AIコーディングツールを作り上げ、それを今や数百万人が利用している。

 両氏が最も言いたいのはこういうことだ。こうしたシステムは本来、上級エンジニアの生産性を上げ、企業が初級エンジニアを減らせるようにするためのものだが、実際は多くの企業が目先の生産性を重視するあまり、長期的な問題を作り出している。その結果、エントリーレベルの人材がいなくなるだけでなく、バグだらけのソフトウエアやサービス障害、ぜい弱なセキュリティー、技術的負債の膨張を招いている。