広岡達朗氏ひろおか・たつろう――1932年、広島県呉市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。1954年に読売ジャイアンツへ入団し、1年目から遊撃手として112試合に出場。打率.314、15本塁打を記録し、新人王と遊撃手部門のベストナインに選ばれた。現役引退後は広島、ヤクルトでコーチを務め、監督としてヤクルトと西武を日本一に導く。セ・パ両リーグで日本一を達成した指導者として知られる。近著に『93歳まで錆びない生き方』(幻冬舎)、『最後の名将論』(SBクリエイティブ)などがある。 Photo:JIJI

ヤクルト、西武を日本一に導いた名将・広岡達朗氏は、94歳になった今もプロ野球界に厳しい視線を向ける。長く現役を続ける選手が珍しくなくなった時代に、広岡氏があえて問うのは「衰えをどう受け入れるか」という問題だ。(ダイヤモンド・ライフ編集部)

――御年94歳になられますが、ご自身の年齢や肉体の衰えについて、どのように向き合っていらっしゃいますか。

 93歳になりかかっとる頃までは、まだよかったんだけどね。94歳になると、衰えるとはこういうことかと痛感するようになった。

 人間は赤ん坊から大人になるまで成長して、ある時期からは横ばいになる。ところが60歳ぐらいを過ぎると、少しずつ老いていく――。これは自然の原理です。そのとき問題となるのは、肉体が衰えること自体ではありません。気持ちまで一緒に落としてしまうことなのです。

 老いれば痛いところがあるのは当たり前です。長く生きていれば、体のどこかに不具合は出る。

 けれども、心まで病ませてはいけない。自分の気持ちを喜ばせてやる努力をする。そういうことを言える人が、今は少なくなったように思います。

――今のプロ野球界を見ると、40歳近く、あるいは40歳を超えて現役にこだわるベテラン選手も少なくありません。広岡さんの目にはどう映っていますか。