年齢を重ねたからこそ楽しめる経験も、今だからこそ意味を持つ挑戦も、確実にあります。

 何かを始めるのに、遅すぎるということはありません。思い立ったときこそが、その人にとっての最適なタイミングなのだと思います。

 若い時期にしかできない経験にお金と時間を使うことも、年齢を重ねてから新しい一歩を踏み出すことも、どちらも人生を豊かにする、正当な選択です

使うために増やし
増やすために使う

 資産運用は、将来の安心をつくるためにあります。けれど、その安心はゴールではありません。その先にあるのは、よりよく生きること。そして、人生を味わうこと。人生は、あとからまとめて楽しむことはできません。

 楽しみや経験は、時間の流れの中で、少しずつ、分散して味わうものです。若い時期にしか得られない経験もあれば、年齢を重ねたからこそ、深く味わえる楽しみもあります。

 だからこそ、お金もまた、人生の時間軸に合わせて配分していく必要があります。使うために増やし、増やすために使う。積み立てながら使い、使いながら積み立てる。そのバランスを、年齢やライフステージに応じて考え続けていく。

 それはすなわち、数字を追いかけるための投資ではなく、自分の人生を支えるための投資です。

 私がオルカン(オール・カントリー)でやりたかったことは、お金を増やすことそのものではありません。人生のそれぞれの段階で、

「やりたいことを、やりたいと思えたときに選べる」、その自由を支える土台をつくることでした。

 この記事が、お金をどう増やすかだけでなく、どう使い、どう生きていくかを考えるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

資産の取り崩しを
どう考えるべきか

 ここまで、「増やす」と「使う」のバランスについて書いてきました。では実際に、資産をどう取り崩していけばよいのでしょうか。

 この点を考えるうえで、参考になるのが「トービンの分離定理」と呼ばれる考え方です。