米著名投資家が警告する「現金神話」Photo:PIXTA

多くの人が現金の保有を増やし、短期的な安心感を得ているかもしれない。しかし、米著名投資家ケン・フィッシャーは、その「現金神話」こそが将来の資産を蝕む最大の罠だと警告する。今の心地よさが将来の大きな後悔に変わる前に、すべての投資家が知るべき現金との正しい付き合い方を提示する。

現金が与える安心感と
長期リターンの棄損

 手元に大量の現金を置くことは、今のあなたに精神的な安らぎを与えるかもしれない。しかし将来、その決断を後悔するだろう。

ケン・フィッシャ―氏Ken Fisher/運用資産25兆円超の独立系運用会社、フィッシャー・インベストメンツの創業者。米国の長者番付「フォーブス400」常連の億万長者。ビジネスや金融分野の出版物に多数寄稿し、投資関連の著書も数多い。父はウォーレン・バフェット氏が師と公言し、「成長株投資」の礎を築いた伝説的投資家である故フィリップ・フィッシャー氏

 「現金こそ王様」なのだろうか? 日本では長かったマイナス金利時代が終わり、世界的に金利が大きく上昇する中、多くの人が現金の保有を増やしている。多くの日本人がそうしてきたように、あなたもそうしているのかもしれない 。 しかし、その十分な備えは、いつしか過剰となり、あなたの資産形成にとってリスクに変わるのではないだろうか 。

 現金比率を高くすることで安全に「感じる」かもしれない。なぜなら短期的にはボラティリティはないからだ。しかし、現金は長期的なリターンを著しく損ない、結果として老後の資金が枯渇する——いわゆる「高齢貧困」という過酷な現実を招きかねない。

 この事実を真に理解している投資家は、残念ながら多くない。あなたにはぜひ、このリスクを理解してほしい。以下では、ご自身の資産における現金保有の最適なサイズを見極めるための方法と考え方をお伝えする 。