「認められたい」という気持ちに振り回されて、心が疲れていませんか? ネガティブに捉えられがちな承認欲求ですが、実はすべてが悪いわけではありません。しんどさを生む「危険な欲求」と、自分を成長させる「健全な欲求」には明確な違いがあります。他人軸から自分軸へと視点を切り替え、心をすり減らさずに自分らしく生きるためのヒントをお届けします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)

【精神科医が教える】承認欲求で「潰れる人」と「成長する人」の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

承認欲求はすべて悪いもの?

「承認欲求」という言葉は、たいていネガティブなニュアンスで捉えられることが多いものです。しかし、すべての承認欲求が悪いものかというと、決してそうではありません。

今回は、承認欲求に振り回されて苦しくなっている方や、しんどそうにしている方へのアドバイスとして、「危険な承認欲求」と「危険ではない承認欲求」の違いについてお話しします。

2つの承認欲求:「自分自身」か「成果」か

そもそも、承認欲求には大きく分けて2つの種類があると考えています。

➊自分自身を承認してほしいという欲求
❷自分のやったことや成果(仕事など)を承認してほしいという欲求

このうち、言うまでもなく危険なのは「自分自身を承認してほしい」という種類のものです。

「自分自身への承認」が危険な理由

承認の対象が自分自身になってしまうと、「私を認めて」「すごいでしょ」「かっこいいでしょ」「綺麗でしょ」といった方向へ向かってしまいます。上には上がいるため、過剰に着飾ったり、パフォーマンスが派手になったりと、おかしな方向へ進んでしまいがちです。

さらに、自分自身が承認の対象である以上、だんだんと「自分が本当にやりたいこと」がわからなくなってしまいます。本来の目的が「自分自身を承認してもらうこと」にすり替わり、認めてもらうためならなりふり構わずかまってもらおうとする、いわゆる「かまってちゃん」状態に陥ってしまうのです。

いずれ立ち行かなくなり、自分自身も苦しくなってしまいます。傍から見ても大変そうですし、何より本人が一番辛い状態になってしまいます。

「他人軸」から「自分軸」へ切り替える

では、どうすればよいのでしょうか? それは、承認欲求の対象を「仕事や自分のやること」「作り上げるもの」などの成果に切り替えることです。

成果を認めてほしいと考え、それが実際に評価されれば、それを作ったのは自分自身であるため、方向性が乱れることはありません。重要なのは、「自分が何かをやる」という行動の根底が自分軸であることです。「自分自身を認めてほしい」というのは他人軸になってしまいます。ここが大きな違いです。

「自分がやりたいことをやり、それが認められたらさらに嬉しい」という発想に切り替えることで、他人軸にならずに自分軸を保ったまま承認欲求を満たすことができます。

持続可能(サステナブル)な承認欲求の満たし方

もし「自分の承認欲求が強くてしんどい」と感じている方がいたら、その欲求が自分自身に向かっていないか、少し振り返ってみてください。もし自分自身に向いていると感じたら、視点を少し切り替えましょう。自分が大事にしていることや、やりたいことを実践し、その「成果」に対する承認欲求へと変換してあげるのです。

たとえひとつの物事がうまく立ち行かなくなっても、他にやりたいことがいくつかあれば、承認欲求の対象を別のやりたいことへスライドさせることができます。自分のやりたいことさえあれば、いつでも承認欲求を満たすことが可能になるため、無理に背伸びをして変な方向へ走る必要がなくなります。そして何より、この方法はサステナブル(持続可能)です。

承認欲求に振り回されて苦しい時は、自分の承認欲求が「自分自身」に向けられているのか、それとも「自分のやることや成果」に向けられているのかを意識してみてください。「自分自身に向いていたな」と気づいたら、「自分が成し遂げることや作り上げるもの」を認めてもらおうという気持ちへと、少しずつ切り替えていくと良いでしょう。