2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容をもとに、抜粋・再構成して特別公開する。

組織の違和感Photo: Adobe Stock

「言えない」職場で起きていること

 ビジネスの場で「自分の意見を言いなさい」と言われるとき、そこには(簡潔に)(わかりやすく)といったカッコ付きの条件が付与されていると感じることがしばしばあります。

 私たちはずっと、「タイパ」「コスパ」と言われ、「無駄なことはしてはいけない」と教え込まれてきました。

 ですが、その先に何が待ち受けていたでしょうか?

 組織生産性が右肩上がり……なんて話はほぼ耳にしません。

 言いたいことは言えず、ちょっとした質問もできず、若手は無言で会社を去り、上司はハラスメントにおびえながら「罰ゲーム」のように管理職をこなす。

「これを言っていいのかな」「あれは聞かないほうがいいかな」と疑心暗鬼になって、相手に率直に尋ねることなく、結果的に「決めつけ」が横行しているのが、多くの職場の現在地ではないかと思っています。

「本音」より「事実」を出し合う

 結果的に、そういった積み重ねで組織の不正は起きています。

 自動車大手、ダイハツ工業の不正事件のことは記憶に新しいことでしょう。

 2023年に発覚した、34年間にわたる試験結果の虚偽記載や試験データの改ざんなどの不正事件です。

 第三者委員会の調査では、「できて当たり前」「ミスが許されない」など組織風土の問題が指摘されています。

「自分で考えろ」と、問題が起きても現場で抱え込んでしまう状況があったのです。

「間違っている」と感じても、意見を言うことがご法度とされる組織文化であれば、言えないのは当然です。

 よく「もっと本音で語ろう」と言う人がいますよね。

 本音で語れるくらい仲良くなれば、組織課題は解決するのでしょうか。

 今、組織に必要なのは、本音ではなく、環境の調整のためにお互いが事実を出し合って、解釈をまとめていくことです。

 そのために、「ジャッジメンタルになる前のもやもや」を伝えることが大切です。ジャッジに至るまでの「なんか変だな」をつかまえる。解決策がわかりきったような課題なんて、この高度化した産業界にもはやそうそうないですから。

 問題をなかったことにせず、ただ違和感をテーブルに置く。そこから現実的な組織調整が始まります。