2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容をもとに、抜粋・再構成して特別公開する。
それは「気のせい」ではない
新年度が始まりました。
チームのメンバーが一新し、歓迎会を行ったという方も多いでしょう。
心機一転、前向きに頑張ろうとする一方で、さっそく引っかかることや、形容しがたい、喉に何かがつっかえているような感覚を覚えてはいませんか?
「周りはうまくやっているのに、自分だけが馴染めていない気がする」
「仕事の内容自体に不満はないけれど、何かが決定的に違う気がする」
こうした「なんか変だな」という感覚。「違和感」とも言い換えられるでしょう。
多くのビジネスパーソンは、これを「気のせい」や「慣れの問題」として片づけようとします。
しかしその違和感は、ほぼ例外なく正しいものです。
人はみな違うメガネをかけている
どうでもいいことは、違和感になりません。
これまで自分なりに組織の中で頑張ってやってきた。それなのに勝手に決めつけられた。そんな、自負を踏みにじられたような、自分にとって大切なこととずれた瞬間に、違和感が発動するのです。
大切なこと=「当たり前」「ちゃんと」「普通」と思っていることは、人それぞれです。このことを私は、次のように表現しています。
「人はみな違う色のメガネをかけている」
本来、物事に色はついていません。
ところが、赤いメガネをかけている人には世界が赤く見え、青いメガネをかけている人には世界が青く見えます。同じものを見ても、「解釈」が変わるのです。
メガネの色は意図して選べるものではなく、自然とついてしまうものでもあります。
遺伝的な要素や脳の特性、生まれ育った環境に、これまで繰り返し吹き込まれてきた言葉など、さまざまな背景がメガネを色づけます。万人が持つ個体差によって、見ている景色が変わる。
それは言わば「解釈のクセの違い」や「生き方のクセの違い」なのです。
人を変えるより、環境をいじる
違和感を持ってしまう自分を変えたい、と思う人もいるかもしれませんが、あくまで持って生まれた資質ですから、自分をねじ曲げ無理をしてまで変えようとする必要はありません。
こうなったときにやるべきは、ひとつの事実を見たときにいかに解釈するか、という「メガネ(解釈のクセ)の違い」を知ることです。
本当はタスクの与え方で解決できるはずのことなのに、そこが明文化されていない。ゆえに相手の態度から良し悪しを評価してしまっている。ものわかりがいいって思われないといけない。
察しろよと感じ取ってしまうことで、聞きづらいというのもそう。
人は立体的で多面的な存在です。ある特定の接し方や性格が固定されているわけではなく、環境によって、その人のどんな面が引き出されるのかが違ってくる。人は「揺らぐ」もの、という前提です。
まったく違う生い立ちを持った人同士が働いているのだから、ズレがあるのは当然のこと。気のせいではなく、あって当たり前のものです。
かつ、それを「仕方ないね」で済ませてわだかまりを残したまま引きずって効率を落とすのではなく、それでも私たちは、ビジネスを前に進めていかなければなりません。
新年度こそ、チームのメンバーそれぞれの持ち味をどう組み合わせれば、チームとしてうまくいくのかを考えたいところです。
忙しいリーダーに、効果のあることだけ
発売5日で大重版!
その後たちまち、2万7千部突破!!
とっても売れてます!!!

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太