同僚を敵と見なす人は、この協力関係を自分で壊してしまいます。短期的には「自分の手柄を守っている」「ライバルに差をつけている」ように見えるかもしれません。けれども長期的には、相談できる相手が減り、情報が入らなくなり、いざというときに助けてもらえなくなります。それが、同僚を敵と見なす会社員を待ち受ける末路です。

実力だけで勝負する罠
スター社員の意外な共通点

 ハーバード・ビジネス・スクールのボリス・グロイスバーグらは、証券アナリストの成果について、本人の能力だけでなく、同僚の質や組織内の協力関係がどのように影響するかを調べました。その結果、トップパフォーマーの成果は、個人の腕前だけではなく、周囲にいる優秀な同僚や組織内の支援にも支えられていることが示されています。

 つまり、仕事の成果は「自分だけの実力」で決まるわけではありません。どれほど優秀な人でも、必要な情報や助言、協力を得られなければ、パフォーマンスは落ちます。逆に、周囲との関係をうまく築いている人は、自分ひとりでは届かない成果まで引き上げることができます。

 ベル研究所のスター技術者を調べたロバート・ケリーとジャネット・キャプランの研究も、同じ方向を示しています。スター技術者と平均的な技術者の差は、単にIQの高さではありませんでした。重要だったのは、仕事の進め方です。スターと呼ばれる人たちは、必要な相手とつながり、周囲の専門知識を活用し、助言や協力を得ながら仕事を進めていました。

 ここで大事なのは、「誰とでも親友になれ」という話ではないことです。職場の全員と深く付き合う必要はありませんし、無理に愛想よく振る舞い続ける必要もありません。

 ただし、敵を増やさないことは重要です。必要なときに相談できる。情報を共有できる。困ったときに助け合える。そういう関係を壊さない人ほど、仕事は進めやすくなります。

 反対に、同僚をいつもライバル視し、「あいつには教えない」「自分だけが評価されればいい」と考える人は、少しずつ孤立していきます。最初はそれでも成果を出せるかもしれません。しかし、仕事が複雑になり、関係者が増え、調整が必要になるほど、孤立は大きな弱点になります。

 周囲から「協力しづらい人」「情報を出さない人」「一緒に仕事をすると疲れる人」と見られるようになれば、重要な案件から外されることもあります。昇進や昇給の機会も遠のきます。なぜなら、上の立場になればなるほど、自分だけで成果を出す力よりも、周囲を巻き込み、チームとして成果を出す力が求められるからです。